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ミッション
「だいち」は地球規模の環境観測を高精度で行う
3つの観測装置で災害状況の把握や地図作成で活躍
「だいち」は2006年に打ち上げられた地球観測衛星(陸域観測技術衛星)で、太陽電池パドルを片翼にもち、3つのセンサを搭載した衛星です。 「だいち」は地球規模の環境観測を高精度で行うことを目標に、地図作成・地球観測・災害状況の把握・資源探査など、幅広い分野での利用を目的に開発されました。
宇宙から地球の安全を守るために
地震や津波などの災害を未然に防ぐ対策ももちろん大事ですが、災害がおきてしまった場合の対応も同じぐらい大事なことです。 刻一刻と変化する災害の状況を見逃さず、すばやく的確に対処し、被害を最小限にとどめるためには、常に最新の情報を知って対応することがとても重要です。
災害状況を把握し復旧対策を支援する
災害予測地図の作成に役立つ
「だいち」は搭載されたセンサを駆使し、縮尺2万5千分の1の地図を作成するためのデータを収集します。 これは、災害状況を把握し、被害を最小限に抑えるための災害予測地図(ハザードマップ)などの作成に役立ちます。
データを比較して、被害状況を詳しく調べるために役立つ
「だいち」が蓄積したデータを利用すれば、災害が起こる前と後のデータを比較して、被害の状況を詳しく調べることができます。 もしも災害が起こったとしても、スムーズな対策をとることができます。 日本だけでなく国際的にも役立つ「だいち」は「国際災害チャータ」という取り組みに参加し、海外で災害が起きたときにも素早くデータを提供して、 被災地の状況を把握することに協力しました。 また、この役目は「だいち」の後継機である「だいち2号」が引き継ぎました。
その他のミッション
地図作成、地球観測、資源調査など、「だいち」は様々なシーンで活躍しました。
広範囲のデータが都市計画に役立つ
「だいち」は帯状に約70kmの幅を一度に観測し、広範囲の写真を撮影することができます。 その広さは、関東平野をひとなめするほどです。この画像を利用すれば、地形を把握して森林破壊を避けた都市開発計画を立てるなど、さまざまな有効活用ができます。 「だいち」によって撮影された約300万枚の衛星画像を用いて整備された「AW3D全世界デジタル3D地図」は 世界で初めて5m解像度と5mの高さ精度で世界中の陸地の起伏を表現した世界最高精度の全世界デジタル3D地図であり、 2017年に「Asia Geospatial Technology Innovation Awards 2017」を受賞しました。
詳細データが地下資源の発見に役立つ
「だいち」が高精度センサで集めるデータはとても詳細です。地上からではわからない、石油などの地下資源の発見にも役立ちました。
全世界の2万5千分の1の陸域の地図作成
「だいち」は特に陸域を観測する衛星で、全世界の2万5千分の1の陸域の地図を作成したほか、地域観測、災害状況の把握、資源探査などにも多様に利用されました。 3つの搭載センサはどれも高解像度なため、データはこれまでにない量となりますが、大容量のデータレコーダの搭載と衛星上の画像圧縮技術を適用することにより、地球の裏側で撮影した画像も溜め込むことができます。 また、データ中継技術衛星「こだま」を活用することにより、地上への送信可能な範囲もぐっと増やしました。(「こだま」は2017年8月5日に運用を終えました。)
「だいち」の形状や搭載パーツについて
①PALSAR(パルサー)
電波を放射し、地表面で反射した電波を受信するマイクロ波センサです。
②PRISM(プリズム)
地形のデータを立体的に取得できる高精度センサです。
③AVNIR-2(アブニールツー)
四種類の波長でカラー画像を作成するセンサです。
④DRC(ディーアールシー)
データ中継衛星通信用アンテナ。静止軌道上のデータ中継技術衛星「こだま」に向けてデータを送信し、地上に中継します。
⑤太陽電池パドル
軌道上において太陽光を電池エネルギーに変換し、衛星に必要となる電力を供給します。
技術
- 宇宙からでも自分の家が見える
- 災害時にもセンサの首フリ機能が大活躍
- 真っ暗闇でもバッチリ見える高性能レーダ
「だいち」で使われている技術「ココがすごい!」
「宇宙からでも自分の家が見える」PRISMがスゴイ!
「だいち」が搭載している高精度センサPRISMは、地上の細かい様子を3方向から観測することができるため、高度700kmもの高さからでも、民家や列車などを識別することができます。
「災害時にもセンサの首フリ機能が大活躍」AVNIR-2がスゴイ!
災害が起こったときなどの緊急時には、衛星直下以外の領域を観測することが必要なケースもあります。 そんなときはAVNIR-2の首フリ機能が必要な地域を即座にポインティング!素早く被災地のデータを取得することができます。 地上からは、災害のためになかなか近づくことができず、困難な被災地のデータ取得も、宇宙にいる「だいち」なら、どこにいても最短2日で画像を地上に送ることができます。
「真っ暗闇でもバッチリ見える高性能レーダ」PALSARがスゴイ!
空を覆う分厚い雲も、真っ暗な闇夜もなんのその。「だいち」に搭載されているレーダであるPALSARを利用すれば、曇りや雨、さらに夜でも地表の様子を正確に観測できます。
「大容量データを一気に地上に送る」DRCがスゴイ!
スゴイのは衛星本体だけではありません。「だいち」は今までの人工衛星の約20倍もの大容量のデータを一気に送ることができます。 しかし、直接地上にデータを送るのは通信時間も短く安定していないため、効率的とはいえません。 そこで静止軌道上のデータ中継技術衛星「こだま」(2017年8月5日運用終了)に一度データを送信し、地上に中継します。 遠回りになりますが、静止衛星は通信可能時間が長いため、効率よくデータを伝送することができます。
また、データを受信する地上側の設備も世界各地に分散し、大容量のデータを効率よく処理できるように工夫されています。
仕様
「だいち」の仕様・打上げ
衛星質量 | 約4t. |
発生電力 | 約7kW(寿命末期) |
設計寿命 | 3年以上、5年目標 |
軌道 | 太陽同期:準回帰軌道 回帰日数:46日 サブサイクル:2日 高度:691.65km(赤道上空) 傾斜角:98.16° |
姿勢決定精度 | 2.0×10e-4°以内(オフライン、GCPあり) |
データ転送速度 | 240Mbps(データ中継衛星経由) 120Mbps(直接送信モード) |
搭載データレコーダ | 半導体データレコーダ(96GB) |
打上げ年月日 | 2006年1月24日 |
打上げロケット | H-IIAロケット8号機 |
打上げ場所 | 種子島宇宙センター |
各センサ仕様
PRISM パンクロマティック立体視センサ
バンド数 | 1(パンクロマチック) |
観測波長帯 | 0.52~0.77µm |
光学系 | 3式(直下視、前方視、後方視) |
ステレオ視B/H比 | 1.0(前方視後方視間) |
地上分解能 | 2.5m |
観測幅 | 70km(直下視のみ)/35km(3方向視モード) |
信号対雑音比 | 70以上 |
空間周波数伝達特性 | 0.2以上 |
ポインティング角 | ±1.5°(3方向視モード、クロストラック方向) |
量子化ビット数 | 8ビット |
AVNIR-2 高性能可視近赤外放射計2型
バンド数 | 4 |
観測波長帯 | Band1:0.42~0.50µm Band2:0.52~0.60µm Band3:0.61~0.69µm Band4:0.76~0.89µm |
地上分解能 | 10m(直下) |
観測幅 | 70km(直下) |
信号対雑音比 | 200以上 |
空間周波数伝達特性 | Band1~3:0.25以上 Band4:0.20以上 |
ポインティング角 | ±44° |
量子化ビット数 | 8ビット |
PALSAR フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ
モード | 高分解能 | 広観測域 | 多偏波 (実験モード) |
|
中間周波数 | 1270MHz(L-band) | |||
バンド幅 | 28MHz | 14MHz | 14MHz 28MHz |
14MHz |
偏波 | HH or VV | HH + HV or VV + VH |
HH or VV | HH + HV + VH + VV |
入射角範囲 | 8~60° | 8~60° | 18~43° | 8~30° |
地上分解能 | 7~44m | 14~88m | 100m (multi look) |
24~89m |
観測幅 | 40~70km | 40~70km | 250~350km | 20~65km |
量子化ビット数 | 5bits | 5bits | 5bits | 3 or 5bits |
データ伝送速度 | 240Mbps | 240Mbps | 120Mbps 240Mbps |
240Mbps |
雑音等価後方散乱係数 | -23dB以下 (観測幅70km) |
-25dB以下 (観測幅60km) |
-25dB以下 | -29dB以下 |
信号対アンビギュイティ比(S/A) | 16dB以上 (観測幅70km) |
21dB以上 (観測幅60km) |
21dB以上 | 19dB以上 |
ラジオメトリック精度 | 1シーン内で1dB/1軌道内で1.5dB | |||
アンテナサイズ | アジマス方向:8.9m×エレベーション方向:3.1m |
関連情報
インタビュー
関連サイト ・だいち(ALOS)写真ギャラリー ・「日本の衛星は未来の地球を守るヒーローだった!?」 ・衛星利用事例 実際にだいち(ALOS)の衛星画像がどのように利用されているか、ケーススタディの紹介や利用希望の方への案内を行っています。 ・地球観測研究センター ALOSサイト ・地球観測研究センター IPY データセット ホームページ ・地球観測研究 |
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