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ミッション
大地にも、精密検査が必要だ。
「だいち2号」は、災害状況の把握、森林分布の把握や地殻変動の解析など、様々な目的で使われています。「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)という観測装置は、 人工衛星から地表に向けて電波を照射して、その反射された電波を受信して観測を行います。
三菱電機株式会社がプライムメーカーとして、設計・製造を担当しました。
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この画像は、土地被覆の状況をより詳しく判別するため、観測から得られた偏波のデータを用いて疑似的にカラー化されており、
大まかに緑色が植生、明るい紫色や黄緑色が市街地、暗い紫は裸地*1を表します。
*1・・・建物や草木がなく、岩や土がむきだしとなっている土地
光学センサと合成開口レーダ(SAR)
地表の様子を詳しく調べるために人工衛星に搭載している観測装置は主に「光学センサ」と「合成開口レーダ(SAR)」の2種類があります。光学センサはデジタルカメラのように、太陽光による可視光などで観測を行うのに対し、合成開口レーダ(SAR)は、地球に向かって電波を照射して、その跳ね返ってきた電波を受信することで観測を行います。SARは太陽光ではなく電波で観測を行うので、昼夜、天候を問わず観測できるのが特長です。「だいち2号」には合成開口レーダ(SAR)を搭載しています。
宇宙から災害状況を把握
2015年に発生したネパール地震のように、広い地域で構造物の倒壊などの被害が発生して、しかも現地に到達するのが困難な状況下では、 宇宙から広域にわたる被害状況を迅速に把握できる「だいち2号」が真価を発揮します。あらかじめ、「だいち2号」の観測により、 大きな被害を受けている地域を特定できれば、優先的に救援活動が必要な地域を絞り込めるので、多くの人命を救うことにつながります。
JAXAは地震、火山噴火、土砂崩れなどの災害が発生した場合は、国内の防災関係機関や国際協力の枠組みによる要請により緊急観測を実施して、「だいち2号」の観測データを提供しています。
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黄色の四角のエリアを拡大したのが、【右上(地震前)】と【右下(地震後)】の画像。
両画像の違いを分析することで、建物の倒壊状況などを調べる。
わずかな地表の動きも見逃さない
「だいち2号」は、地震や火山活動による地殻変動や隆起などの地表面の動きを数cmの精度で捉えることができます。火山や地震が多い日本では、こういった地表面の動きを把握することは特に重要です。例えば、火山活動の活発化による広範囲にわたる地表の隆起を捉えることができれば、行政機関によるそのエリアへの立入りの可否の判断材料になります。
地表面の動きは、異なる日時に観測した同じ場所の画像を比較する干渉SAR解析という手法により、知ることができます。「だいち2号」は海外の同種の人工衛星と比較してもこういった地表の動きを明瞭に捉えることができます。
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隆起などの地表面の動き(人工衛星と地表面の間の距離の変化)は緑→赤→青の縞模様で表れます。
世界の森林を見る
世界の森林は、農地への土地利用の転換や違法伐採などにより減少を続けています。「だいち2号」は宇宙から世界中の森林の増減や違法伐採の様子を監視します。
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「だいち2号」に搭載されている観測装置のLバンド合成開口レーダ(PALSAR2)はLバンドという波長の長い電波を使っているので、電波の一部が植物の葉を透過して地面まで届きます。このため、森林と森林でない場所で電波の跳ね返り方に違いがでるので、森林の分布を調べるのに適しています。
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波長の長さによる、電波の跳ね返り方の違い
「だいち2号」【左】のLバンドは、森林と森林でない場所で電波の跳ね返り方に違いがでるので、森林分布を調べるのに適している。
一方で、Xバンド衛星【右】の場合は電波の跳ね返り方に差が出にくい。
だいち2号」の形状や搭載パーツについて
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①Lバンド合成開口レーダ(SAR)アンテナ
衛星から発射した電波の反射を受信するレーダセンサです。
②太陽電池パドル
軌道上において太陽光を電池エネルギーに変換し、衛星に必要となる電力を供給します。
③直接伝送用アンテナ
衛星が取得した画像データを地上の受信局に直接伝送します。
技術
- 「だいち2号」搭載のPALSAR-2
「だいち2号」で使われている技術のここがスゴイ!
「だいち2号」搭載のPALSAR-2
「だいち2号」は2011年まで活躍した「だいち」の後継機として開発されました。前号機の「だいち」には地表を観測するための装置として、2つの光学センサと1つのレーダセンサ(SAR)を搭載していましたが、「だいち2号」はレーダセンサ(SAR)のみ搭載することで、観測の頻度を向上させてより迅速な情報提供を可能にしています。「だいち2号」に搭載しているレーダセンサ(SAR)は、新たに開発された、「フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ」(PALSAR-2)と言い、前号機の「だいち」より3倍以上細かいものを見ることができます。
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仕様
「だいち2号」の仕様・打上げ
観測センサ | 合成開口レーダ(SAR) | |
SAR周波数 | Lバンド(1.2GHz帯) | |
観測モード | スポットライト | 分解能:1×3m 観測幅:25km |
高分解能 | 分解能:3m~10m 観測幅:50km,70km | |
広域観測 | 分解能:100m 観測幅:350km | |
軌道 | 種類 | 太陽同期準回帰軌道 |
高度 | 628km | |
降交点地方時 | 12:00(正午) | |
回帰日数 | 14日 | |
設計寿命 | 5年(7年目標) | |
質量 | 2トン級 衛星 | |
ミッションデータ伝送 | 直接伝送およびデータ中継衛星経由 | |
打上げ年月日 | 2014年5月24日 | |
打上げロケット | H-IIAロケット24号機 |
利用事例
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防災・災害監視
「だいち2号」によるネパール地震の観測結果
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農林・水産
住友林業の植林事業
関連情報
インタビュー
・SPAISE 衛星搭載船舶自動識別システム(AIS)実験
・CIRC(Compact Infrared Camera)地球観測用小型赤外カメラ
パンフレット
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地球を見守る人工衛星
陸地、海洋、大気の状態を観測するための地球観測衛星です。災害や気候変動に対応するために、宇宙から私たちの地球を見守っています。
暮らしを支える人工衛星
通信を行ったり、測位(自分の位置を知る)を行ったりするための人工衛星です。新しい技術開発をするための人工衛星も作っています。
衛星プロジェクト ストーリー
人工衛星への熱き想い!
人工衛星は機械ですが、人工衛星を研究開発して運用するために、JAXAの宇宙開発の現場ではプロジェクトチームとして多くの人が協力して働いています。ここでは衛星プロジェクトを支えるストーリーを紹介します。ミッション遂行に向けた熱い想い、大変な話、感動する話、面白エピソード、普段聞けない裏話などなど。
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ってだれが運営しているの?
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サテライトナビゲーター(サテナビ)は、暮らしを支える人工衛星の開発・運用をしているJAXA第一宇宙技術部門が運営しています。JAXA第一宇宙技術部門の詳細についてはこちらへ。
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