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ミッション
ギガビット級のインターネット通信技術の確立
超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)とは
「きずな」(WINDS)は、アジア・太平洋地域のデジタルデバイド解消とギガビット級のインターネット通信技術の確立を目的に、JAXAと国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が共同で開発した衛星です。
2008年2月23日に、H-IIAロケット14号機によって打ち上げられた「きずな」は、同年6月より、①JAXA、NICTが主体となる基本実験及び②WINDS利用実験会員が主体となる利用実験を開始し、JAXAの基本実験は2011年6月に完了しました。
世界初の4K超高精細映像の非圧縮伝送に成功
2014年5月12日 、「きずな」を使用した、高速衛星通信衛星の研究開発に取り組んでいる情報通信研究機構(NICT)が、世界最高速の3.2Gbpsの通信速度を達成するとともに、 4K超高精細映像の非圧縮伝送することに世界で初めて成功しました。これにより、例えば、災害発生時には被災地の状況や負傷者の負傷箇所を4K超高精細映像で迅速に災害対策本部などに送ることができるようになります。 また、突然の事故や思わぬ急病などの一刻一秒を争う事態の時に、離島や僻(へき)地などでは、高度な医療を提供することが難しいことがありますが、「きずな」の超高速回線を利用して、遠く離れた都市の専門医師に、 患者の状況を4Kの超高精細映像で明瞭に伝えることができます。
東日本大震災の被災地でインターネットが使える環境を提供。
2011年3月11日に発生した東日本大震災。地上の通信設備が甚大な被害を受ける中、JAXAでは「きずな」を使ったブロードバンド通信環境を構築して、被災地からでもインターネットが利用できるようにしました。災害対策テレビ会議、安否情報の確認など様々な形で利用されました。
世界中の学校や研究者同士の交流に役立つ
人工衛星を利用したインターネットは、教育分野でも非常に注目されています。例えば、マレーシアの大学、タイの大学、日本の大学をそれぞれインターネットで繋ぎ、オンラインで意見交換。世界中の人々と自由にやりとりができることは、インターネットがもたらした大きなメリットのひとつです。
しかし、今までの人工衛星を利用した通信は途中にいくつもの中継基地を経由させる必要があったため、会話に時間差が生じてしまい、どうしても一方通行のコミュニケーションになってしまうという問題がありました。「きずな」を利用すれば、広い範囲に散らばる数ヶ所の端末を直接つないで、同時に通信することが可能になります。参加者同士がお互いに自由にやりとりをすることができるので、まるで一緒の授業に参加しているかのようなストレスのないコミュニケーションが実現します。
「きずな」の形状や搭載パーツについて
①MBA(国内及び近隣国向け):
マルチビームアンテナ
複数のビーム(通信用電波)を使って、効率よく目的地と通信することができます。
②MBA(東南アジア向け):
マルチビームアンテナ
「きずな」は2つのMBAを搭載。こちらは東南アジアに向けられています。
③太陽電池パドル
軌道上において太陽光を電池エネルギーに変換し、衛星に必要となる電力を供給します。
④APAA:アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ
アジア・太平洋の広い地域との通信を可能にします。
技術
- 分厚い雨雲をピンポイント突破!マルチポートアンプ
- 広範囲通信もおまかせ!アクティブ・フェーズ・アンテナ
「きずな」で使われている技術のここがスゴイ!
データ通信を行う人工衛星は世界にもいくつか例がありますが、最大3.2Gbpsという超高速通信が可能なのは「きずな」が世界で初めてです。大掛かりな地上局を必要とせず、宇宙から通信を行うため災害にも強い「きずな」の超高速通信は、様々な技術を取り入れることで、これを実現しています。
分厚い雨雲をピンポイント突破!マルチポートアンプがスゴイ!
「きずな」の特長である超高速通信を実現するためには”Ka帯”という大容量の通信に向いている特殊な周波数帯を利用します。しかしこの周波数帯は雨に弱く、雨天時にはノイズが混じってしまうためにうまく通信できないことが問題でした。そこで「きずな」は送信ビームの出力を自在に増幅できるマルチポートアンプを搭載。雨の降っている地域にピンポイントで強力な電波を送信できるため、つねに安定した状態で超高速通信を行うことができます。
広範囲通信もおまかせ!アクティブ・フェーズ・アンテナがスゴイ!
「きずな」がカバーする通信可能範囲は日本だけに留まりません。アジア諸国、太平洋主要都市など、地球のほぼ半分という実に広大な地域をカバーします。幅広いエリアにおいて効率の良い超高速通信を実現するために、アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナを搭載。通信が多く行われている地域に向けてアンテナを高速で制御し、ハイ・パフォーマンスな超高速通信を実現することができます。
仕様
「きずな」の仕様・打上げ
設計寿命 | 5年目標 |
軌道高度 | 36,000km |
質量 | 約2,700kg |
寸法 | 2m×3m×8m(太陽電池パドルを含めた全幅21.5m) |
発生電力 | 5200W以上 |
姿勢安定方式 | 3軸姿勢制御方式 |
打上げ年月日 | 2008年2月23日 |
打上げロケット | H-IIAロケット14号機 |
ミッション系の仕様
中継方式 | 再生交換中継方式 (ATMベースバンド交換方式) |
非再生交換中継方式 (ベントパイプ) |
周波数 | 上り:27.5~28.6GHz / 下り:17.7~18.8GHz | |
アンテナ方式と実験エリア | MBA(固定ビーム):日本国内及びアジアの主要10都市/ APAA(走査ビーム):アジア太平洋地域 |
|
EIRP, G / T | MBA:68dB以上、18dB/K以上 / APAA:55dB以上、7dB/K以上 | |
地上局アンテナ径と伝送速度 (上り / 下り:MBA通信回線) |
45cm級:1.5~6 / 155Mbps 1~2m級:1.5~51×3 / 155Mbps |
2~3m級:622 / 622Mbps 5m超:1.2Gbps / 1.2Gbps |
主なミッション機器
Ka帯高出力マルチビームアンテナ(MBA)/ マルチポートアンプ(MPA) | JAXA 開発 |
日本全国および、アジアの主要都市と超高速通信を行うマルチビームアンテナと、これらのビーム出力の電力配分を行うマルチポートアンプを開発します。 |
Ka帯アクティブフェーズドアレイアンテナ(APAA) | JAXA 開発 |
アジア・太平洋の広い地域を対象として、送受信とも2つの通信ビームを電子的に高速走査できるアンテナ技術を開発します。 |
搭載高速スイッチング・ルータ(ATM交換機ルータ) | NICT 開発 |
衛星上で155Mbps×3チャネルという高速な情報交換を行う交換機を搭載します(独立行政法人通信総合研究所が開発を担当)。 |
関連情報
インタビュー(2006年掲載)
前 「きずな」(WINDS)
プロジェクトマネージャ 中村 安雄
WINDSは「ユビキタス社会の実現」をさらに身近にするためのプロジェクト
「きずな」(WINDS)プロジェクト
小澤 悟
遠隔教育や遠隔医療といった分野でも、役立つようになれば嬉しい
用語集
WINDS
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地球を見守る人工衛星
陸地、海洋、大気の状態を観測するための地球観測衛星です。災害や気候変動に対応するために、宇宙から私たちの地球を見守っています。
暮らしを支える人工衛星
通信を行ったり、測位(自分の位置を知る)を行ったりするための人工衛星です。新しい技術開発をするための人工衛星も作っています。
衛星プロジェクト ストーリー
人工衛星への熱き想い!
人工衛星は機械ですが、人工衛星を研究開発して運用するために、JAXAの宇宙開発の現場ではプロジェクトチームとして多くの人が協力して働いています。ここでは衛星プロジェクトを支えるストーリーを紹介します。ミッション遂行に向けた熱い想い、大変な話、感動する話、面白エピソード、普段聞けない裏話などなど。
ってだれが運営しているの?
サテライトナビゲーター(サテナビ)は、暮らしを支える人工衛星の開発・運用をしているJAXA第一宇宙技術部門が運営しています。JAXA第一宇宙技術部門の詳細についてはこちらへ。
JAXA 第一宇宙技術部門について