Falcon9ロケットによりEarthCARE衛星が無事打ち上り、太陽電池パネルも予定通り展開され衛星本体はひと安心です。さて、今度はCPRの番です!
打ち上げ後3日間のクリティカル運用の中で27時間後に直径2.5mもあるCPRの主反射鏡(MREF)が展開されます。まず、アンテナ展開機構のヒーターをスイッチオンして展開に最適な温度になるように一連の手順を開始しました。温度は順調に上がって常温付近に達し準備が整い、展開開始の約1時間前にスウェーデンにあるキルナ地上局からMREF展開用のコマンドを衛星に送信しました。
さあ、いよいよMREF展開です。MREFは打ち上げ時にはたたまれて保持されていますが、軌道上で火薬を爆発させて解放させる火工品を持った保持解放機構を使って展開させます。南極にあるトロール地上局と通信ができたタイミングで展開シーケンスが始まりました。初めに不用意なコマンド実行を防止する安全ロックが解除され、順調な滑り出しです。我々は運用コンソールのモニタ画面に釘付けになりました。4つあるテレメトリ信号の2つが展開開始を示しました(よーし、来た!)。固唾を飲んで見守りましたが、なかなか展開完了を示す残りの2つのテレメトリ信号がやってきません。感覚的には1分半位経った頃でしょうか、展開完了のテレメトリがやってきました(やったー!)。展開時間は手元の時計では約43秒でした。ほぼ地上試験での実績通りです。
その後は、運用チームのみんなと握手、ハグと思い描いていた光景が現実のものとなりました。運用室のガラス越しに温かく見守っていただいていたESA/JAXAスタッフからも祝福を受けました。これまで、地上試験や運用訓練を積み重ねてきたのですが、全てはこの一瞬のためにあったことを実感できた日になりました。