Columnコラム

2014
3.20

GPM主衛星が銀色の理由

DPRについてはNASAとともに初期の点検を順調に進めています。

ところで、GPM主衛星が銀色である理由をよく聞かれます。
「本当は金色なのに、かっこよく見せるために銀色にしているの?」と言われることも度々。

確かに銀色って、カッコイイよね。

本物も銀色なのです。

人工衛星は、内部の機器の温度をコントロールするために、多層断熱材(MLI:Multi-Layer Insulation)で包まれているのですが、GPM主衛星の場合、このMLIが銀色なのです。

では、なぜ銀色か?
それは衛星の軌道高度と関係しています。

GPM主衛星は400qという低い高度を飛んでいます。
この領域では、原子状酸素(AO:Atomic Oxygen;太陽の紫外線で原子状に解離した大気由来の酸素)が数多く存在していて、とめどなく衛星に衝突しています。

原子の衝突?ちょっとイメージするのが難しいですが、MLIのような高分子フィルムは、衝突によって浸食されボロボロになってしまうのです。

それを防止するのが、この銀色=ゲルマニウムコーティングのMLIです。
しかも、導電性がある(=帯電しない)優秀な材料です。

比較的新しい材料なので、プロジェクト初期(2006年頃)には、長い時間をかけて評価試験を行いました。
宇宙技術は日々、着実に進化しています。

(GPM/DPRプロ:百束)

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