2014
3.24
前回のコラムで、GPM主衛星が銀色をしている理由をお話ししましたが、
もう一つ大きな外見的な特徴があります。
はい、左右非対称の太陽電池パドルです。
色だけではなく、太陽電池パドルもなんか変だぞ!
もちろんこれにも理由があるわけですが、
その前に衛星の軌道について少しお話ししなければなりません。
多くの地球観測衛星は「太陽同期軌道」を飛んでいます。
太陽同期軌道とは、衛星と太陽の位置関係が常に同じになる(つまり、衛星の軌道面にあたる太陽からの光の角度が同じになる)ように飛行することをいいます。
この軌道では、赤道上空を衛星が通過する地方時が、ほぼ一定になり、地上から見ると、毎回ほぼ同じ時刻(地方時)に衛星が飛んでくることになります。
この軌道で飛行すると、観測時の地球表面への太陽光の入射角が一定となるため、地球表面からの放射・反射量を正確に観測することができます。
太陽同期軌道のイメージ
さて、GPM主衛星も地球観測衛星なのですが、観測対象は「雨」です。
にわか雨、夕立、時雨…、
降り始める時間も降り止む時間も様々です。
毎回、同じ時刻に衛星が飛んでくる太陽同期軌道では大切な雨を見逃してしまうかもしれません。
そこで、GPM主衛星は「太陽非同期軌道」を飛びます。
これにより、様々な時刻の雨をとらえることができるのです。
しかし設計的には、ややこしくなります。
太陽光の入射角が一定ではないからです。
やっと本題に戻ってきました。
衛星は太陽電池パドルで発電して、その電力で動作しています。
一定ではない太陽光の入射角を前提として(ありとあらゆる方向からの太陽光入射を想定して)、もっとも効率的に発電を行う必要があります。
GPM主衛星が左右非対称の太陽電池パドルになっているのはそのためです。
(GPM/DPRプロ:百束)