H-IIAは、2001年から運用を開始した2段式ロケットです。
第1段、第2段とも高性能が得られる液体酸素と液体水素を推進薬に使います。
直径4mで、全長は標準で53m。
本体横には標準で2基の固体ロケットブースターが装着され、打ち上げ時からほぼ真空になる高度までの加速を補助します。
H-IIAの標準型は静止トランスファー軌道に約4tの衛星を打ち上げる能力がありますが、固体ロケットブースターを4本にすることで、打ち上げ能力を約6tに増やすことができます。
また、H-IIAロケットの増強型として開発され、第1弾の直径を5.2mにして推進剤タンクの容量を増やし、エンジンを2基装備したH-IIBロケットは2009年9月、宇宙ステーション補給機(HTV)技術実証機の打ち上げに成功しました。
第2段にはH-IIロケットの第2段用として開発されたLE-5Aエンジンを改良したLE-5Bエンジンが搭載されており、液体酸素と液体水素を推進薬として約137kN(約14t)の推力を発生します。第2段の誘導制御はLE-5Bエンジンのノズルの向きを電動式駆動装置により動かして推力方向を変化させること、および姿勢制御用のガスジェット装置を作動させることにより行います。また第2段エンジンは宇宙空間において着火を2回行うことにより、複数の衛星を異なる軌道へ投入することができます。
標準型の第1段は、中央に配置された液体ロケットと、その左右に各1本取り付けられた固体ロケットブースター(SRB-A)で構成されています。中央の液体ロケットには、H-IIロケットの第1段用として開発されたLE-7エンジンを改良したLE-7Aエンジンが搭載されており、液体酸素と液体水素を推進薬として真空中で約1,100kN(約112t)の推力を発生します。
LE-7Aエンジンは、LE-7エンジンの推力を維持しながら、製造方法の簡素化が図られています。SRB-Aは、ポリブタジエン系推進薬を使用した固体ロケットブースターです。6号機の打ち上げ失敗を受けて、新たな開発に取り組み、信頼性の向上とともに打ち上げ能力の回復を図っています。
誘導制御システムは、H-IIロケットと同じストラップダウン慣性誘導方式であり、慣性センサー・ユニット(リング・レーザー・ジャイロを使用)と誘導制御計算機で構成され、ロケットの飛行位置や速度を常に計算しています。これにより、打ち上げ後は自動的に誤差を修正しながら目的の軌道に向けて飛行することができます。
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