2018年1月6日に中国東部沖合の東シナ海において、パナマ船籍のイランのタンカー「SANCHI」が香港船籍の貨物船と衝突し、火災が発生しました。このタンカーは鎮火しないまま、日本の排他的経済水域(EEZ)内の奄美大島の西方を漂流し、14日午後、奄美大島の西方約315kmの海上で爆発、沈没しました。沈没したタンカーからは油が流出しています。
JAXAでは、1月18日12時33分(日本時間)にだいち2号(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ(PALSAR-2)により、現場付近を観測しました。図1はPALSAR-2で撮影した場所を示していて、タンカーの沈没場所が、PALSAR-2の観測範囲に入っています。沈没した海域の東側には、南西から北東にかけて、黒潮が流れています(海上保安庁・海洋速報(http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/index.html )より)。
図2は図1の黄色で囲った領域を拡大したものです。タンカーから流出した油膜は、通常の海面に比べ、なめらかになっていると考えられるので、レーダからの電波が、衛星方向に反射されず、周辺の海面よりも暗く写る傾向があります。図の左下の赤い点がタンカーの沈没位置を示しています。この位置の東側約1kmの地点から油が流出し、一旦北西に進んだ後、東に広がっていると思われます。北側にも北西から南東に向かって油膜が広がっていて、事故船移動中に流出した油が残っているものと思われます。
今後も引き続き、衛星で現場付近の観測を行っていきます。