準天頂衛星 初号機 みちびきには、JAXAの技術の粋が詰め込まれています。
今回のQZナビでは、みちびきの各部位の技術を深く掘り下げて解説し、そのテクノロジーに迫ります。
みちびきから測位信号を地球に向けて送信するための機器です。
測位信号を地球に向けて送信するためのアンテナです。
大小19本のヘリカルアンテナから構成されています。
太陽光による熱変形を防ぐために、太陽光を遮り、電波を透過させる保護カバーにおおわれています。
衛星に搭載している原子時計と地上の原子時計の差を精密に測定するためのアンテナ。(独)情報通信研究機構(NICT)の実験で使用します。
高速移動体向けのGPS補強信号(測位精度を1m以下にするための情報)を送るアンテナです。
地上からみちびきにレーザ光線を照射し、このレーザリフレクタで反射した光を観測してみちびきの正確な位置を測ります。
みちびきの軌道や姿勢を制御するために、大小2種類の推進系があります。
みちびきのメインエンジン。ロケットによる打上げの後、トランスファー軌道フェーズで活躍します。
トランスファー軌道からドリフト軌道に向けて、5回の噴射を行い、無事役目を終えました。(QZナビ Vol.02を参照)
姿勢制御や軌道の微調整を行う推進装置で、みちびきには12個搭載されています。
トランスファー軌道フェーズでアポジエンジンに何らかのトラブルが発生した場合には予備の推進力発生装置としても活用できますが、アポジエンジンは問題なく動作したため姿勢制御用にのみ使用しました。
ドリフト軌道フェーズではこのスラスターが活躍してみちびきを準天頂軌道に投入することができました。
準天頂軌道にいるみちびきは測位信号を安定的に地球に向けて送信するために、アンテナを常時地球の中心方向に向けながら、必要とする電力を太陽電池パドルから確保する必要があります。
みちびきは姿勢を知るためのセンサを複数台搭載して確実にアンテナを地球中心方向に向け、同時に姿勢に応じて太陽電池パドルを太陽方向に向けるよう制御しています。
星空のパターンから衛星の向きを知るセンサです。
見えた星を衛星に積んだ星カタログと見比べて、宇宙空間のどの星たちかを調べ、衛星の姿勢を推定します。
地球が放射する赤外線から地球の位置を検出し、そこから衛星の向きを知るセンサです。
宇宙空間から太陽の方向を検出し、衛星の向きを知るセンサです。
宇宙にいるみちびきと地上の追跡管制局でデータのやり取りをするためのアンテナです。2種類の周波数帯(S帯/2GHz帯、C帯/5GHz帯)を使用しており、打上げ直後の初期段階はS帯、初期機能確認以降はC帯を使用します。
みちびきと地上の追跡管制局(勝浦、沖縄、増田、パース、マスパロマス、サンチアゴ)とで通信するためのS帯アンテナです。
みちびきに送る指令(コマンド)やみちびきの状態を示すデータ(テレメトリ)をこのアンテナを使ってやり取りします。
みちびきの状態を示すデータ(テレメトリ)を沖縄にある追跡管制局に送信するアンテナです。
沖縄にある追跡管制局からのみちびきへの指令(コマンド)を受信するアンテナです。
太陽電池パドルの展開や姿勢制御状態を確認するため、みちびきには3台のモニタカメラが搭載されています。
打上げ直後に太陽電池パドルを展開する際に、きちんと展開しているかどうかを確認するためのカメラです。
L帯ヘリカルアレイアンテナが地球にきちんと向いているかどうかを確認するためのカメラです。
外から見えない衛星内部にも、機器が搭載されています。
このパネルの内側に測位信号を作り出すための機器が搭載されています。
ヒートパイプと呼ばれる熱の通り道をパネルに埋め込むことで、パネル全体を等温化し、機器の発熱による部分的な温度上昇がないように工夫されています。
このパネルの内側に測位信号を作り出すための機器が搭載されています。
「みちびき」の測位信号を生成する心臓部でもあるルビジウム原子時計(RAFS)もこのパネルに搭載されています。衛星自身の時刻の情報が正確でないと、私達は自分がいる場所を正確に計算することはできません。わずか1マイクロ秒(100万分の1秒)の時刻のずれが、300mもの測距誤差になってしまうのです。そのため、極めて正確で安定度の高いルビジウム原子時計が採用されています。
ペイロードパネルにはヒートパイプと呼ばれる熱の通り道を埋め込むことで、パネル全体を等温化し、機器の発熱による部分的な温度上昇がないように工夫されています。
ルビジウム原子時計は安定した温度環境が必要となることから、ルビジウム原子時計が搭載されている部分のみ、他の機器とは独立したヒートパイプの系統を設けて確実に温度制御するようにしています。
衛星を宇宙の寒さ、太陽光の暑さから守り断熱するためのブランケット。薄い膜とネットを何層にも重ね合わせた構造となっています。
鏡のように太陽光線を反射して衛星を太陽光による温度上昇から守り、衛星内部の熱を放熱する役割を果たします。
みちびきには2つの太陽電池パネルが搭載されています。
打上げ後10年の運用末期においても5300W以上の電力を発生します。
発生した電力は、バッテリに蓄えられます。みちびきは大容量のリチウムイオンバッテリ(携帯電話やノートパソコンにも使用されている種類のバッテリ)を搭載しています。