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2024.07.25(木)

「EarthCARE」衛星(はくりゅう)の多波長イメージャMSIの初画像が公開されました!

雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(はくりゅう)の4センサのひとつ、多波長イメージャ(MSI)の初画像がESA(欧州宇宙機関)から公開されました。

「はくりゅう」は日本と欧州が協力して開発した地球観測衛星で、2024年5月29日に打ち上げられました。MSIはESAが開発を担当したセンサのうちのひとつで、雲の分布や雲頂の温度を測定します。
MSIは7月16日から17日にかけて初観測に成功し、世界各地の雲をとらえました。

図1 「はくりゅう」の多波長イメージャ(MSI)の初画像:7月17日のローマ (c)ESA

図1は、7月17日にイタリアのローマ西部で発生した雷雲を捉えたものです。左側の可視光画像では、大きな雲が鮮明に写っています。右側の熱赤外域のバンドを使った画像では、雲頂の温度は約-50℃、その下の陸地は約30℃であったことを示しています。さらに熱赤外バンドによる測定では、可視画像ではほとんどとらえられなかった海上の薄い雲が鮮明に写っています。このように、MSIは多波長バンドを用いた観測でさまざまな雲をとらえます。

図2 MSIの初画像:7月17日の千島列島北端 (c)ESA

図2は、7月17日に観測した千島列島北部に浮かぶ雲を示しています。この雲は島の地形によって形成された地形性の雲とみられます。また右側の熱赤外画像から、雲と海面の温度差が小さいことがわかるため、雲が海面に近い下層に広がっていることが考えられます。

図3 MSIの初画像:7月17日のグリーンランド (c)ESA

図3も7月17日に撮影されたもので、グリーンランド南西の沿岸部を示しています。 雪氷に覆われていない沿岸部のこの日の気温は10℃まで上昇し、グリーンランド氷床や冷たい海との色の違いが鮮明に見て取れます。可視画像と赤外画像を組み合わせることで、氷床の上にある氷雲と水雲、および南西の海上にある薄い雲の層がきれいに浮かび上がっていることがわかります。

図4 MSIの初画像:7月16日の米国南部 (c)ESA

図4は7月16日に観測された画像で、米国中西部と南部の一部を示しています。 画像の下部には、雲ひとつない暑いアーカンソー州北部が写っています。そのすぐ上部には前線の一部が写っており、右の熱赤外画像ではミズーリ州南部の冷たい高層雲が青く強調されています。さらにその上には、下層の暖かい雲が写っています。

(補足)MSIセンサの解説:
MSIは、イメージャというカメラのようなセンサです。可視~熱赤外域の複数の波長を使って雲やエアロゾルの水平分布を観測します。この観測データにより、雲やエアロゾルがどこにどのように分布しているか、さらには雲・エアロゾルの詳細な特徴も判別できるようになります。 MSIのデータと、日本が開発した雲プロファイリングレーダ(CPR)を含む「はくりゅう」搭載のほかの3センサのデータと組み合わせることで、雲やエアロゾルが気候変動にどのように影響しているのか、さらに理解が加速することが期待できます。

詳細はESAの記事をご覧ください。
https://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/FutureEO/EarthCARE/EarthCARE_s_multispectral_imager_puts_clouds_into_context

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