人工衛星の速さはどれくらい?

人工衛星は宇宙空間を飛行する船のような存在です。同じ場所に滞在することはなく、速さをもって飛行を続けています。では、人工衛星はどれくらいの速さで飛行しているのでしょうか。

地球観測衛星(地球の観測をおこなう人工衛星)などは低軌道と呼ばれる高度約200~2,000kmの軌道を飛行しており、その速さは時速約28,800km/時です。新幹線の最高速度が320km/時と言われているので、その約90倍です。引力によって地球へ落ちてきてしまわないように、これだけの速さが必要になるのです。

また、静止軌道と呼ばれる軌道を飛ぶ気象衛星や通信衛星などの人工衛星は、空を見上げた時に常に同じ場所に存在しているように見えます。つまり、地球が自転する速さと同じ速さで人工衛星も飛行しているのです。この速さは軌道の高度と地球の半径を使った計算で求めることが可能です。

静止軌道は赤道の上空約36,000kmにあり、地球の半径は約6,400kmと判明しています。人工衛星は、地球を中心とした半径rの円の円周上を動いているので、1日に飛行する距離は、円周の公式「円周の長さ=2×π(円周率)×r」から、以下のように求められます。rは36000+6400=42400です。

2×π×r = 2 × 3.14 × 42400 (㎞)= 266,272 (km)
      (※π=3.14として計算)


1日(24時間)でこの距離を一周するので、「速さ=距離÷時間」で以下のようになります。

266272(㎞) ÷ 24(時間) = 11,095 km/時

この速さは地球観測衛星などの速さの半分以下ですが、これを静止軌道上で維持することで、常に地球から見て一点に存在しているように見せています。このように人工衛星は、目的によって決められた速さで飛行しています。その速さを出すため、ロケットなどにより加速させる必要があるのです。

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