2023.06.05(月)
地球観測衛星のこともっと知ってもらいたい。JAXAサテナビチャンネルゆるく楽しく配信中!
スペシャル座談会
サテらいふチーム
サテらいふチーム(写真左から)
田中 陽奈子(事業推進部)
棚田 和玖(地球観測研究センター)
江藤 由貴(衛星利用運用センター)
「JAXAサテナビチャンネル」をご存知ですか? JAXA第一宇宙技術部門に所属する若手スタッフの有志たちが、人工衛星について、地球観測について、宇宙について、ゆるく楽しくわかりやすくお伝えする動画をYouTubeにて配信中です。動画の企画、撮影、編集、チャンネルの運営などをまるごと行っている「サテらいふ」プロジェクトから、立ち上げメンバーの棚田和玖さんと田中陽奈子さん、最近新たに加入した江藤由貴さんの3名にお話を伺いしました。
地球観測衛星の取り組みを届けるために、
若手スタッフが集結。
− まずはお一人ずつ簡単に自己紹介をお願いします。
棚田 棚田和玖です。2023年4月で入構5年目になります。地球観測研究センターに所属していて、気候変動観測衛星「しきさい」から送られてくる観測データの解析業務などを担当しています。サテらいふチームでは主に企画や動画の編集などを行っています。
田中 田中陽奈子です。4月で入構3年目になります。事業推進部で人工衛星の広報全般に携わっており、JAXAサテナビチャンネルの運営もその一環として行っています。
サテらいふチームでは、主に企画や撮影、全体の進捗管理などを担当しています。
江藤 江藤由貴です。田中さんと同期の入構3年目です。衛星利用運用センターに所属し、主に地球観測衛星のデータの利用推進を行っています。現在運用中の衛星のデータ利用推進が中心ですが、将来的な衛星の検討なども行っています。
サテらいふチームには入ったばかりで、いまは動画のアイデア出しなどをお手伝いしています。
− サテらいふプロジェクトは、いつ何を目的に始まったのでしょうか?
棚田 スタートしたのは2021年の秋からです。
ボクらが携わっている地球観測衛星は、人々の暮らしのいろいろなシーンで役立っているのですが、残念ながら一般の方からするとあまり馴染みがない、知名度が低いという課題があります。 近年は地球環境に興味を持たれる人が多くなっていることもあり、JAXAが行っている地球環境への取り組みを含め、地球観測衛星について、幅広い人々に知っていただきたいと思い、動画配信のプロジェクトを始めました。
− プロジェクトのメンバーは何名ですか?
田中 大体10人前後です。入社1年目〜10年目くらいの若手職員が中心で、第一宇宙技術部門の各部署からまんべんなく集まっています。
−メンバーはどのように集めたのですか?
棚田 そもそも自発的に始めたプロジェクトなので、部署を問わず“やりたい!”という人に参加してもらっています。
田中 江藤さんはスカウトしました。立ち上げ当初は、棚田さんの所属する地球観測研究センターの人が多かったんです。人工衛星が取得した観測データを解析・研究する人たちですね。
でも、人工衛星のさまざまな面をお届けするには、他部署の人たちもいたほうが動画に広がりが生まれるということで、観測データを民間や行政等に幅広く利用してもらうための業務を行っている衛星利用運用センターの人たちに声を掛けました。その一人が江藤さんです。
江藤 声を掛けてもらって、素直にうれしかったです。ありがとう(笑)。
わたしの部署は外部の人たちとつながることが多いので、今後はそうした業務についても動画で紹介していけたらいいなと思っています。 普段の業務では他部署の人たちと一緒になることが少ないので、サテらいふプロジェクトで他部署の若手職員と意見交換できる機会があるのはいいですね。
動画の企画から撮影、編集まで、
すべてを自分たちの手で。
− 動画はどのように制作しているのですか?
棚田 社内チャットツールなどを使ってメンバー間でアイデアを出し合い、どんな動画にするかを決めて撮影しています。
通常業務もあるので、忙しい時は編集作業を外部にお願いすることもありますが、基本的には企画から撮影、編集まで、すべて自分たちで行っています。
田中 編集はどうしても時間がかかってしまうので、一部、外部に協力してもらいながら、月1〜2本は新作を上げらけるように頑張っています。
− 動画制作において気をつけていることはありますか?
田中 ゆるく楽しく伝えることですね。子どもから大人まで、あまりお勉強っぽくならず、気軽に見てもらえるような動画をつくろうと心がけています。
棚田 普段から宇宙の仕事に携わっていると、自分たちが制作した動画が一般の方々にとってわかりやすいかどうかがわからなくなっちゃうことがあって。なので、ときには参加メンバーの友人や家族に見てもらって意見をもらうようにしています。
田中 その分野の専門じゃないメンバーの人に、仮編集の動画を見てもらって、意見をもらうこともあります。
江藤 昨年までわたしはメンバーではなかったので、一視聴者の立場で“ここにはテロップを入れたほうがいいんじゃない?”などと適宜コメントを入れていました。
動画制作を通じて、
部署を超えた交流が活発に。
− サテらいふを始めて良かったと思うことはありますか?
棚田 ボクたちと同じようにYouTubeで配信を行っている人や施設などと思いがけないコラボができることがうれしいです。昨年夏には東京・上野の国立科学博物館様とコラボすることができ、お客さんのいない時に撮影させていただいたり、博物館の裏側を見せていただいたりと貴重な体験ができました。
江藤 わたしはメンバーになったばかりなので、まだ視聴者目線で見ているところがあるのですが、サテらいふの動画に対して一般の方々がコメントを寄せてくれているのがうれしいですね。たとえば、棚田さんが話した国立科学博物館様とのコラボ動画には“もっと伸びていい動画ですわ!”というコメントが来ていて、わたしも“そうそう、間違いない!”と思ったり(笑)。そのほかにも温かいコメントを残してくださっている方がたくさんいて、すごくうれしいです。
田中 サテらいふの影響かどうかはわからないのですが、JAXAのいろいろな部門で動画を使って広報を行うという取り組みが増えているような気がします。わたしたちがきっかけじゃなかったとしても、同じようなことをやっている仲間が社内で増えるのはうれしいですね。
また、棚田さんや江藤さんをはじめ、サテらいふの活動を通して、違う部署の人たちと仲良くなれたこともうれしいです。わたしは広報の仕事なので、サテらいふ以外の広報イベントを行う時も“協力してもらえませんか”などと声を掛けやすくなりました。
江藤 業務ではとても真面目な先輩が、サテらいふの活動になると、すごくくだけていたり、いつもと違う顔が見られるのはいいですね。ギャップ萌えです(笑)。
わたしと田中さんはコロナ禍の入社で、他部署の人たちと顔を合わせる機会がなかったので、余計にそう感じるのかもしれません。棚田さんなんて、写真でしか知らなかったので、ちょっと怖いイメージがありました(笑)。
棚田 えー!?
江藤 今や気さくなラーメン好きのイメージしかないですけど(笑)。
田中 普段の棚田さんはクールなイメージがあるので、サテらいふの活動とか、こうした座談会とか、自ら進んでやるようなタイプではないのかなと思いきや、意外に積極的に楽しんでますよね(笑)。
棚田 こういう活動は好きなんですよ。好きだから、サテらいふも始めたわけで。業務でしかできないことと、業務ではできないことがあると思うのですが、サテらいふの活動はその隙間を埋めてくれる大切な存在ですね。
まずはこの動画からご覧ください。
メンバーのおすすめ作品を大公開!
− これまでアップした動画のなかで、ぜひ観ていただきたいオススメ作品を一人ひとつずつ挙げてください。
田中 昨年11月に筑波宇宙センターの特別公開ということで、一般の方々に敷地を開放して、職員による講演やワークショップなどで楽しんでいただくというイベントを3年ぶりに開催しました。その際、サテらいふチームでも何かやろうということになり、人工衛星のキャラクターをパネルにし、その裏にカメラとスピーカーを取り付けて、来場した人たちがキャラクターに話しかけると、サテらいふのメンバーが答えるという企画を催しました。
その様子を編集した動画を配信しているので、ぜひ観ていただきたいです。イベントの準備がとても大変でしたし、動画素材が5時間分くらいあって編集にも苦労しましたが、当日の楽しい雰囲気が伝わる、サテらいふらしい動画がつくれたんじゃないかなと思っています。
棚田 子どもたちがひっきりなしに来てくれて楽しかったね。
ボクのおすすめ動画は、昨年6月から10月にかけて3回にわたって配信したクイズ企画です。サテらいふのメンバーでクイズトーナメントを行って優勝者を決めるというもので、JAXA職員の意外な一面が見られるし、宇宙の知識が学べるクイズになっているので、視聴者の方も楽しめるんじゃないかなと思います。
田中さんはクイズをたくさん作成してくれたり、出題者になってくれたりと大活躍でした。
田中 めっちゃ頑張りました。回答者として出場した棚田さんは早々に敗退していましたね(笑)。
江藤 わたしのおすすめは「サテらいふ天文部」の動画です。わたし自身が天文分野出身なので、いつかぜひ出たいと思っているのですが、なかでもイチオシはNASAが打ち上げたジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)を解説する動画です。今までの光学望遠鏡にくらべて、銀河団や星雲などがはっきりきれいに捉えられて、その画像を見るだけでも感動するのですが、それがわかりやすい解説付きの動画になっているのでオススメです。
JAXAの天文衛星ではありませんが、この望遠鏡のどこがすごいかなど、ちゃんとポイントを押さえて教えてくれるのがいいですね。わたし自身、すでに何度も観ているので、再生回数のアップに貢献しています(笑)。
いろいろな人たちとコラボするなど、
さらに楽しい動画をお届けしていきます。
− 今後、サテらいふでこういう動画をつくってみたい、という希望はありますか?
江藤 大学時代に星の赤ちゃんの研究をしていたので、サテらいふ天文部で星の赤ちゃんの動画をつくりたいです。あとは、たとえば、この星に人類が住めるのかなどといった仮説に基づいた動画も面白いかもしれませんね。
棚田 ボクはクイズのリベンジがしたい(笑)。実は国立科学博物館さんとコラボした時に、QuizKnockさんとコラボできたら面白いねという話で盛り上がったんです。もし科博さんとQuizKnockさんとJAXAでクイズ対決できたらとてもいいですね。
田中 宇宙縛りのクイズにしてもらわないとまた負けますよ(笑)。
棚田 より現実的な企画としては、地球観測についてわかりやすく伝える動画がまだ十分ではないように思うので、たとえば、身近に起こる気象現象、猛暑とか、ゲリラ豪雨とか、それらのメカニズムをわかりやすく説明する動画をコンスタントに配信していきたいですね。
田中 わたしはいろいろな人たちとコラボできたらいいなと思っています。宇宙とつながりがある人はもちろんですが、一見宇宙とつながりがないような人たちでも、実は人工衛星のデータを活用しているというケースがたくさんあるので。たとえば、農業の人や水産業の人がそうですね。
なので、なんでこういう人たちとJAXAがコラボしてるの?という驚きを見せつつ、人工衛星のはたらきを紹介していけたら面白いかなと思います。
− 動画以外の活動も行っていますが、そちらの展望もお願いします。
田中 動画以外の活動としては、Twitterでの情報発信や、人工衛星をイラストでキャラクター化したLINEスタンプの販売を行っています。
LINEスタンプについては、購入された方から“第2弾が欲しい”とか“人工衛星のガチCGのスタンプが欲しい”などのリクエストをいただいているので、今後も充実させていきたいです。
江藤 一般の方で、LINEスタンプの人工衛星キャラクターをモチーフにオリジナル作品をつくって、Twitter上に上げてくれた方がいて、それを見つけた時はちょっと感動しました。こういうことが人工衛星に興味を持っていただくきっかけになったらいいですね。
田中 人工衛星のLINEスタンプを作成した時の動画も公開しているので、興味のある方はぜひ見てください。
− サテらいふの展望や目標はありますか?
田中 もともとサテらいふのプロジェクトは、地球観測衛星の知名度があまりに低くて、わたしたちが悲しい、悔しいというところから始まっているので、地球観測衛星の知名度を高めることがいちばんの目標ですね。
“JAXAといえば?”と尋ねたら、恐らく“宇宙飛行士”とか“はやぶさ”とか“ロケット”などという答えが返ってくると思います。それらと並んで、“JAXAといえば、地球観測衛星”や“JAXAといえば、サテらいふ”といわれるようになるまでは頑張りたいなと思います。
江藤 野望としては、チャンネル登録者数100万人ですね。
一同 (笑)
世界と協力しながら、
社会に、未来に貢献できる仕事がしたい。
− では、サテらいふからいったん離れて、みなさんの今後の夢や目標を教えてください。
棚田 学生時代はブラックホールについて研究していたのですが、社会に出るにあたって、自分の知的好奇心を満たし、なおかつ、社会貢献もできる仕事ということでJAXAを志望しました。その想いはいまも変わってなくて、地球環境変動メカニズムの解明を通じて知的好奇心を満たしながら、人々の未来に貢献できたらと思っています。
田中 わたしは文系出身なのですが、大学時代に国際系の勉強をしていたので、将来は海外への赴任や国際的な業務に関わりたいです。JAXAで具体的にどういう仕事があるのか、その中で自分がどういう仕事ができるのかはこれから考えていきたいと思っています。
入構当初はまさか自分がYouTubeをやることになるとは思いませんでしたけど(笑)。
江藤 わたしも海外にはとても興味があり、宇宙開発における国際的な協力に注目しています。たとえば、月へ行こう、火星へ行こうという流れのなかで、もしかしたら火星の軌道に観測衛星を投入しようというような未来があるかもしれない。そうした時にアメリカやヨーロッパなどの宇宙開発の先進国と協力しながら行うプロジェクトに何か関われたらいいなと思っています。
サテらいふとコラボしてもいいよという人、
絶賛募集中です。
− 最後にこの座談会を読んでくれている方々に向けて、動画のアピールやメッセージをお願いします。
田中 いまはまだ再生回数も少ないですし、チャンネル登録者数も一般的に見ればまだまだのチャンネルです。でも、動画を1本でも観ていただければ、ゆるく楽しくではありますが、わたしたちが本気で地球観測衛星のことを伝えたいということがわかっていただけると思います。まずは1本、観ていただけるとありがたいです。
棚田 JAXAサテナビチャンネルには、知識欲を満たせる動画もありますし、JAXA職員の一面が垣間見られる動画もありますし、天気などの身近なことを取り上げた動画もあり、何かしら興味を持っていただけるコンテンツがあるのではないかと思っています。
これからもいろいろな動画を制作・配信していきますので、少しでも面白そうな動画あったら、ぜひクリックしてください。それがボクたちの励みになります。
江藤 JAXAって何をしているのか、見えにくいし、イメージしづらいと思います。でも、サテらいふを通じて、わたしたちJAXA職員がどういうふうに働いているのかを観ていただけたらと思います。そして、どんなことでも構わないので、コメントをただけたらうれしいです。コメントから新たな動画が生まれたりと、みなさんとわたしたちで相互に盛り上げていけたらいいなと思っています。
わたしたちの動画に終わりはありません。宇宙が広いのと同じで、わたしたちもいろんなことにチャレンジしていきます。なので、コラボもぜひ!
田中 今後は実験系の動画など、さらに多彩な動画をお届けしていきますので、ご期待ください。
棚田 ぜひ動画のご視聴、チャンネル登録をお願いします。そして、ボクたちサテらいふとコラボしたい人、コラボしてもいいよという人は、動画のコメントやTwitterなどでお知らせいただけるとうれしいです。お待ちしています。