最新情報
- お知らせ 2024.09.30 (月)
- お知らせ 2024.03.14 (木)
- お知らせ 2023.03.08 (水)
ミッション
地球を見守る「だいち」の目
「だいち3号」は、陸域観測技術衛星「だいち」(2006~2011年)の光学ミッションを引き継ぐ地球観測衛星です。 三菱電機株式会社がプライムメーカーとして、設計・製造を担当しており、協力して開発を進めています。 「だいち」と比べ大型化・高性能化したセンサを搭載することにより、「だいち」の広い観測幅(直下70km)を維持しつつ、さらに高い地上分解能(直下0.8m)を実現します。
このセンサを用いて国内はもちろん、全地球規模の陸域を継続的に観測し、蓄積した平時の画像や災害発生時の画像を防災・災害対策等を含む広義の安全保障に活用します。 さらに、「だいち3号」の観測画像は国内や途上国の高精度な地理空間情報の整備・更新に貢献するほか、 多様な観測バンドによる沿岸域や植生域の環境モニタリング・土地被覆分類など、様々な分野での利用が期待されています。
「だいち3号」では、観測画像のユーザへの配布事業を株式会社パスコが担当します。衛星データの利用における民間事業者の知見を活かし、更なる利用拡大を目指します。
「だいち3号」の形状や搭載機器について
❶ 広域・高分解能センサ
広い観測幅(70km)と高い地上分解能(0.8m)を両立させた光学センサで、地表面を広く詳細に観測します。
❷ 光衛星間通信機器
光データ中継衛星と通信するための装置です。
技術
- 地上分解能を約3倍向上
- 観測波長帯の追加
- 多様な観測モード
- 全球の高分解能画像をアーカイブ
- 光衛星間通信システムの採用
地上分解能を約3倍向上
「だいち3号」に搭載される光学センサは、「だいち」の広視野を維持しつつ、地上分解能を約3倍向上させています。 このように高分解能と広視野を両立させたセンサは、「だいち3号」の大きな特徴の一つとなっています。センサ性能の実現にあたっては、これまでに日本が培ってきた大型光学系や高性能検出器の製造技術が最大限活用されています。
また「だいち」では白黒画像(地上分解能2.5m)を取得するセンサと、カラー画像(地上分解能10m、可視近赤外4バンド)を取得するセンサを個別に搭載していましたが、「だいち3号」ではこれらを統合し、 一つのセンサで白黒(地上分解能0.8m)とカラー画像(地上分解能3.2m、可視近赤外6バンド)を取得します。両方の画像を合わせ、地上分解能0.8mのパンシャープン画像(※)の生成が可能です。
※ 高解像度の白黒画像と低解像度のカラー画像から作成する高分解能化カラー画像
「だいち3号」の地上分解能では、構築物の倒壊や道路遮断の状況が「だいち」に比べてより明確に視認でき、発災前後の画像の比較により、詳細な被害状況を迅速に抽出することが可能になります。
シミュレーション画像はこちら観測波長帯の追加
「だいち」のマルチスペクトルの観測波長帯は青、緑、赤、近赤外の4つでしたが、「だいち3号」では、新たにコースタルとレッドエッジの2つが追加され、更に幅広い分野での活用が期待されています。
コースタルの波長帯は水中で減衰しにくいため、沿岸域の観測に有効です。レッドエッジから近赤外の波長帯は、健康な植物からの反射が強く、植物の分布やその健康状態などの把握に有効です。
多様な観測モード
「だいち3号」では平時および災害対応の5種類の観測モードを用意しています。目的に応じて、適切な観測モードを選択して観測を行います。
・平時の観測モード
ー ストリップマップ観測モード
通常時にはストリップマップ観測モードで衛星直下の地表面を観測します。この観測モードでは地球1周(98分)あたり最大10分間の観測が可能です。これにより1日あたり最大420万km2のエリアを観測することができます。これは日本の面積の約11倍に相当します。
ー 立体視観測モード
同じ地点を異なる方向から2回観測します。それぞれの観測の視差から高さ情報を得ることができ、数値地表モデル(DigitalSurfaceModel : DSM)の作成に用いられます
・災害対応の観測モード
ー 地点観測モード
衛星の直下方向から全方位に60°までの範囲で衛星の姿勢変更を行い、直下以外の離れた地点の観測が可能です。このモードにより、被災地を発災後およそ24時間以内に観測することができます。
ー 広域観測モード
指定エリアを複数回観測することにより、一度に200km(衛星進行方向)×100km(直行方向)を観測することができます。
ー 方向変更観測モード
衛星の進行方向とは異なる方向へ衛星の姿勢を連続的に変更し、広範囲の沿岸域など、対象の地形に応じた観測を可能にします。
全球の高分解能画像をアーカイブ
「だいち3号」は、平時は衛星直下指向の姿勢を維持し、ストリップマップ観測モードにより、日本のみならず全球のベースマップ画像の整備を行います。「だいち3号」のベースマップ画像は地上分解能1m以下、被雲率20%以下と定義されており、日本全域のベースマップ画像を打上げ後3年以内、国外を5年以内に整備する計画です。
効率的なベースマップ画像取得のために、定常観測運用開始後の20回帰(約2年)分の観測計画を事前に定め、軌道上ではこの計画に従って観測を進めます。
日本域は優先的に観測を行うこととしており、20回帰のうち13~14回の観測機会があります。この観測計画はベースマップ画像整備の進捗を確認しつつ定期的に見直していく予定です。同一の姿勢で地表面の観測を継続的に行い、全球のベースマップ画像をアーカイブしていく運用方針は海外商用衛星などとは一線を画しており、「だいち3号」の大きな特徴の一つです。
光衛星間通信システムの採用
センサの高分解能化に伴い増大したデータ発生量への対応として、レーザ光による光衛星間通信システムを採用しています。「だいち3号」の観測データは光衛星通信機器から静止軌道上の光データ中継衛星(2020年11月打上げ)に送られ、電波で地上へと中継されます。「だいち」当時のデータ中継衛星(240Mbps)に比べ、約7倍の高速化(1.8Gbps)を達成しています。
仕様
項目 | 仕様 |
ミッション機器 | 広域・高分解能センサ ・パンクロマチックバンド(白黒) 観測波長帯:0.52~0.76µm 地上分解能:0.8m(衛星直下) 観測幅:70km(衛星直下) ・マルチスペクトル(カラー) 観測波長帯: バンド1 0.40~0.45µm(コースタル) バンド2 0.45~0.50µm(青) バンド3 0.52~0.60µm(緑) バンド4 0.61~0.69µm(赤) バンド5 0.69~0.74µm(レッドエッジ) バンド6 0.76~0.89µm(近赤外) 地上分解能:3.2m(衛星直下) 観測幅:70km(衛星直下) 衛星搭載型2波長赤外線センサ(防衛省ミッション) |
データ伝送 | 直接伝送(Ka帯:1.8Gbps X帯:0.8Gbps) 光衛星間通信:1.8Gbps |
サイズ | 5.0m×16.5m×3.6m (太陽電池パドル展開時) |
質量 | 約3トン |
設計寿命 | 7年 |
運用軌道 | 太陽同期準回帰軌道 高度669km 回帰日数 35日(サブサイクル※約3日) 降交点通過地方太陽時 10時30分±15分 ※サブサイクル:ある直下軌道パスに対し、隣接するパスを衛星が通過するまでの日数 |
打上げ年月日 | 2023年3月7日打上げ ※「だいち3号」を搭載した「H3ロケット試験機1号機」の第2段エンジンが着火しなかったことにより、衛星は軌道投入にいたりませんでした。 |
打上げロケット | H3ロケット |
プライムメーカー | 三菱電機株式会社 |
データ配布事業者 | 株式会社パスコ |
関連情報
インタビュー
パンフレット
・先進光学衛星「だいち3号」概要説明書
・「だいち3号」ソリューションブック
・先進光学衛星(ALOS-3)パンフレットダウンロード
・「だいち3号」タペストリー
文献
関連サイト
・地球観測研究センター ALOS-3サイト
・だいち(ALOS)写真ギャラリー
最新情報
- お知らせ 2024.09.30 (月)
- お知らせ 2024.03.14 (木)
- お知らせ 2023.03.08 (水)
- お知らせ 2023.02.15 (水)
- お知らせ 2023.01.26 (木)
地球を見守る人工衛星
陸地、海洋、大気の状態を観測するための地球観測衛星です。災害や気候変動に対応するために、宇宙から私たちの地球を見守っています。
暮らしを支える人工衛星
通信を行ったり、測位(自分の位置を知る)を行ったりするための人工衛星です。新しい技術開発をするための人工衛星も作っています。
衛星プロジェクト ストーリー
人工衛星への熱き想い!
人工衛星は機械ですが、人工衛星を研究開発して運用するために、JAXAの宇宙開発の現場ではプロジェクトチームとして多くの人が協力して働いています。ここでは衛星プロジェクトを支えるストーリーを紹介します。ミッション遂行に向けた熱い想い、大変な話、感動する話、面白エピソード、普段聞けない裏話などなど。
ってだれが運営しているの?
サテライトナビゲーター(サテナビ)は、暮らしを支える人工衛星の開発・運用をしているJAXA第一宇宙技術部門が運営しています。JAXA第一宇宙技術部門の詳細についてはこちらへ。
JAXA 第一宇宙技術部門について