北極・南極の海氷減少
地球上で最も寒い北極や南極で海氷の減少が急速に進行しています。何が起きたのでしょうか。衛星画像を見ながら考えてみましょう。
<北極(9月:北極の夏)>
北極の衛星画像 🄫NiPR/JAXA
<南極(2月:南極の夏)>
南極の衛星画像 🄫JAXA
上の画像は、地球観測衛星が撮影した北極と南極の海氷状況を示したものです。1980年の画像は米国衛星搭載マイクロ波センサが、2023年の画像はJAXAの水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)が観測した画像です。白色が海氷、青色が海、灰色が陸地を表しています。なお、観測衛星の軌道により北極点付近は観測できないため、図中央の北極点付近はデータの無い黒い丸として描かれています。またそれぞれ1979年から2023年までの推移を動画でもご覧いただけます。
北極における海氷面積は1980年代より減少傾向にあり、2012年9月16日には人工衛星による観測史上最小値を記録しました。対照的に、南極では2015年頃まで海氷面積はわずかに増加傾向にありました。しかし、近年では減少傾向に転じ、2023年2月16日に過去最小を記録しました。
海氷は北極のホッキョクグマやアザラシ、また南極のコウテイペンギンなどが住む場所です。海氷が減ることでこれらの生き物は住む場所を失ってしまいます。南極にあるコウテイペンギンの5つのコロニー(集団)の調査を行った所、4つのコロニーでヒナが全滅してしまっていることが分かりました。上手に泳ぐことができないヒナは海に落ちて溺れて死んでしまったり、流氷に乗って親と離れ離れになり、エサが食べられずに死んでしまったりすることもあります。
■発問例
1.1980年と現在を比較すると、どのようなことに気付きましたか。
2.北極の海氷の面積が減少しているのはなぜでしょうか。
3.地球温暖化が進行すると、具体的にどのような問題が生じるでしょうか。
4.地球温暖化の原因とその対策を考えてみましょう。
■活用場面例
<中学>
理科3 地球の明るい未来のために(自然環境と人間)
地図 世界の環境問題
公民 国際社会(地球規模の環境問題と国際協力)
<高校>
地理総合 地図や地理情報システムで捉える現代世界 地球的課題と国際協力 地球温暖化問題
地学 大気と海洋(人間活動と地球環境)
現代社会 地球環境問題
家庭分野 持続可能な社会・消費行動が環境に与える影響
■教材サンプル
・小学校高学年向けの教材はこちら
・中学生・高校生向けの教材はこちら
・北極や南極の衛星データを閲覧、ダウンロードしたい方はこちら
■北極・南極の海氷減少の衛星画像を見た感想の紹介
- 前は北極が大きかったのに今はこんなに小さくなっていて悲しい。(小1)
- 約40年の間に氷がとても減っているのが目で見て分かった。もっと環境のことを考えようと思った。(20-30代)
- 見えない所で困っている生き物がいるなら、今の生活で何かを変えていかないといけないと実感した。(30代)
<観測を行っている衛星>
しずく(GCOM-W/AMSR2)
打上げ年月日 2012年5月18日
宇宙から地球の環境変動を長期間にわたってグローバルに観測することを目的としています。水循環に関わる観測を行っています。