なぜJAXAは地球観測衛星を作っているの?
JAXAが地球観測衛星を作る理由は?
安全安心で豊かな社会を実現するためです。地球観測衛星は、陸や海や空を宇宙から広範囲に観測することによって、例えば、数値気象予報や災害が起きた時の状況把握、インフラの変化の監視、船舶への安全で効率的な航行ルートの提供、農業の効率化など、様々な分野で社会に役立てられています。
また、森林の減少やオゾン層の破壊、地球温暖化などの人間活動に起因する世界規模の地球環境問題を解決するためには、地上での観測だけでなく、地球全体を均質に観測することが重要です。人工衛星はそのための唯一の手段を提供します。人工衛星を用いて宇宙から得られる情報を活用して、気候変動の実態を把握し、そのメカニズムを解明するための研究にも役立てられています。
このように、JAXAの地球観測衛星は宇宙から地球を見守る目として日々観測を行うことで、皆さんの暮らしを豊かにできるような活動に取り組んでいます。
JAXAが地球観測衛星を作る必要はあるの?
最近は、ベンチャー企業が自分たちで人工衛星を作り、そのデータをビジネスとして利用することも活発になってきましたね。JAXAの使命の1つは、宇宙産業の持続的な活性化です。そのため、民間企業の宇宙を利用する活動を積極的にサポートしています。
しかし、防災や環境分野など、まだビジネスとして成立させるのが難しい分野もあります。例えば、「だいち2号」は災害が起きるとすぐに、被災地を観測するため地上から指示を出すのですが、災害が起きていない時も含めて運用者が24時間365日働いている必要があるので、人件費がかかります。また被災地の観測データを使ってお金をたくさん稼ぐというのも難しい面があります。
このように、民間企業が参入しづらい分野で、皆さんの生活や未来を守る重要な目的のためには、これからもJAXAがしっかりと役割を果たす必要があると思っています。また、先導的な技術開発を行うことで、宇宙開発の技術をリードし、日本の宇宙産業を盛り上げていくのも大切な役割だと思っています。