様々な人工衛星

人工衛星とは

「人工衛星」とは何かを考える前に、「衛星」について考えてみましょう。「衛星」とは、定常的に惑星の周りを周回している天体のことをいいます。例えば、地球にとっての衛星は月ですね。「人工衛星」とは、文字通り「人工」(人が作った)の「衛星」、ということになります。「人工衛星」と正式名称で呼ばず、単に「衛星」と略されることもあります。

小惑星のサンプルリターンに成功した「はやぶさ」などは、「人工衛星」ではなく「探査機」に分類されます。これは、ミッションの主目的が、「衛星」の持つ本来の意味である「定常的に惑星の周りを周回」し、観測を継続することではなく、対象の天体まで航行し、「探査」することだからです。基本的には、「人工衛星」は地球を周回しているものを指すことが多く、それ以外の天体を対象とするものを「探査機」と表現することが多いです。

人工衛星は何をするもの?

人工衛星は、その目的によって大まかに以下のように分類することができます。

目的 代表的な軌道
地球観測衛星 時々刻々変化する地球環境(大気、海洋、陸域、雪氷圏)の長期的な観測 LEO/GEO • 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)
• 気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)
• 水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W) 
• ひまわり8号※ 他
通信衛星
放送衛星
無線通信の中継や放送 LEO/MEO/GEO • 光衛星間通信システム (LUCAS)
• 技術試験衛星9号機 他
測位衛星 位置情報の計測に必要な信号の送信 MEO • 準天頂衛星システム「みちびき」 他

※ひまわり8号は地球観測衛星の一種ですが、気象観測を目的とした衛星を意味する「気象衛星」という分類をするケースもあります。

それぞれの人工衛星が周回する軌道は、主にその高度によって以下の3種類に分けられます。
• 低軌道(Low Earth Orbit, LEO):
高度2,000kmまでの軌道。約90~120分で地球を1周する。地球表面の一部しか見ることができない反面、高い空間解像度で観測することができる。
• 中軌道(Middle Earth Orbit, MEO):
地上2,000kmから36,000kmの軌道。LEOの衛星よりも広く地球を見ることができる。
• 静止軌道(Geostationary Earth Orbit, GEO):
高度36,000kmの軌道。この軌道上の衛星は地球の自転と同じ速度で移動するため、地球上のほぼ同じ場所を観測し続けることができる。

JAXAが運用する人工衛星のうち多くは地球観測衛星であり、LEOに打ち上げられています。超低高度衛星技術試験機「つばめ」 (SLATS) は、最も低い地球観測衛星の軌道高度(167.4 km)でギネス世界記録に認定されました。

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