地球観測衛星と観測のしくみ
地球観測衛星とは
地球観測衛星は、宇宙空間から時々刻々変化する地球環境を監視することを目的とした衛星です。そのため、地球観測衛星には地球が放射・反射する電磁波をキャッチするためのセンサが搭載されています。一般に、対象物に直接触れずに対象物の大きさや形、性質を観測する技術を「リモートセンシング」と言いますが、衛星に搭載されたセンサからの観測はとくに「衛星リモートセンシング」と呼ばれます。
地球を観測するしくみ
地球が放射・反射する電磁波には、その時々の地球の状態を示す様々な情報が秘められています。得られる情報は電磁波の波長によって異なるため、様々な波長を捉えることができるセンサを複合的に用いて地球の状態を診断することが重要です。地球観測衛星は、いわば地球のお医者さんのような役割を担っているのです。
以下の表は、JAXAの地球観測衛星に搭載されているセンサが、それぞれどの波長で地球を観測しているかを示しています。例えば、陸上の植生は可視光線の赤域~近赤外領域で強い反射特性を持つので、その波長帯で観測を行っている気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)や陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)などを用いると観測することができます。
表中のセンサ名の右側にある[A]、[P]は、そのセンサがアクティブ(能動型)なのかパッシブ(受動型)なのかの違いを識別しています。
● [A]アクティブセンサ:センサ自らが電磁波を発し、大気中の雨粒などの粒子や地表面で反射されて返ってくる成分を観測する
●[P]パッシブセンサ:センサ自らは電磁波を発さず、地球が放射・散乱する微弱な電磁波を観測する
パッシブセンサは、地球表面から自然に発せられるシグナルをキャッチしているので、比較的広範囲の領域を一度に観測できます。一方アクティブセンサは、観測幅は限られますが、自らが発した電磁波が対象物で反射されて戻ってくるまでの時間から、センサと対象物の間の距離がわかるため、高さ方向も含めた三次元の情報を取得することができます。