国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、この度,海洋情報を一元的にGISシステムで提供するシステム(J-CORE実証ツール)を開発し試験的に公開を開始いたします。
従来、人工衛星データを含む海洋情報は水産、海運、資源開発、エネルギー等、それぞれの目的ごとに収集・利用されてきました。現在、人工衛星データや海洋の予測データなどの種類や量は飛躍的に増大するようなり、目的別にデータを集め利用することの非効率性が際立つようになりました。また、複数の種類のデータから新たな知見を得ようとする際にも海洋情報の一元化が強く求められるようになりました。
JAXAでは10年以上にわたり、海洋の各分野のニーズを調査し海洋情報をどのような形で一元化、提供するべきかを海洋のユーザーの方々と議論してきました。近年、急速に標準化が進み普及しつつあるWebGISを使い、海洋の各分野のオペレーションのニーズに対応するJ-coreシステムを試作・開発し、これによりデータの使われ方や潜在的な利用ニーズの掘り起こしをしてまいりました。
この度、J-CORE実証ツールを一般に試験公開し、幅広い海洋データの使われ方や衛星による海洋観測及び海洋観測データ提供に関するニーズや知見を集め、将来のJAXAの衛星開発計画や、より利用されやすい衛星データ提供方法等の参考といたします。日本の海洋状況把握(MDA)システムである「海洋状況表示システム(https://www.msil.go.jp)」への貢献として、「海洋状況表示システム」の開発、運用を行う海上保安庁海洋情報部に対し、JAXAは水循環変動観測衛星「しずく」などにより観測した海面水温や海上風速などの衛星データの提供をすでに開始しており(※)、それに加えて、本システムの開発や運用で得られた技術的なノウハウ等を提供します。JAXAは海洋状況表示システムへの技術支援を通して国の施策に貢献していく予定です。
※今後、複数衛星による全球衛星降水マップ(GSMaP)による降水量や気候変動観測衛星「しきさい」による海面水温や海色(クロロフィルa濃度)などの衛星データについても追加していく予定。
海洋状況表示システム:https://www.msil.go.jp