お知らせ

2025.04.01(火)

先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)定常観測運用開始および
観測データの提供開始について

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2024年7月1日に打ち上げた先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)の初期校正検証運用を2025年3月31日に終了し、定常観測運用(※1)を開始します。また、これに伴い観測データの提供を2025年4月以降に順次開始していきます(※2)。

初期校正検証運用にあたり、ご協力いただきましたプライムメーカの三菱電機株式会社様をはじめ衛星運用に携わる企業、機関等の皆さまには感謝申し上げます。

なお、「だいち4号」観測データの一般配布は、以下の事業者(※3)からの配布を予定しております。一般ユーザ向けの観測データの提供開始時期については、確定次第、JAXAよりご案内します。

【一般ユーザ向けデータ・サービス事業者】(2025年4月1日時点の選定結果となります)
(50音順)

株式会社天地人
https://tenchijin.co.jp/

株式会社パスコ
https://alos-pasco.com/

(※1)「基本観測シナリオ」に従い日本全土および全世界の観測を行います。また、災害時などには緊急観測を実施します。「基本観測シナリオ」の詳細はこちらをご参照ください。
(※2)一部画質の調整が必要であり、継続して対応を実施します。詳細や処置状況は下記URLに順次掲載予定です。
<https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/alos-4/a4_calval_j.htm>
(※3)「先進レーダ衛星(だいち4号)観測データ・サービス事業」の事業者公募への提案は随時受け付けています。詳細はこちらをご参照ください。

1.「だいち4号」の概要

「だいち4号」は、2006年に打上げられた「だいち」(ALOS)、そして2014年に打ち上げられた「だいち2号」(ALOS-2)の後継機として打ち上げられた、日本が世界に誇るフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(LバンドSAR)搭載の衛星です。「だいち4号」は災害状況の把握、地盤沈下等の土木・インフラ管理、水稲耕作等の農業での活用、森林伐採の監視、海氷・海岸線の把握などに加え、デジタルトランスフォーメーション等の未来の社会に貢献するための利用可能性を検討するなど、あらゆる分野でレーダ衛星(SAR)にしかできない情報提供を行います。
詳細はこちらをご参照ください。

2.主な経緯

打ち上げ以降、以下の通り運用を実施しています。
・2024年7月1日          「だいち4号」打ち上げ
・2024年10月18日      定常運用(初期校正検証運用)開始
・2025年3月31日        初期校正検証運用終了および定常観測運用開始
・2025年4月以降          観測データの提供開始

今後は定常運用期間(打上げ後7年間)を通して、定常観測運用を行うとともに、観測データの提供および画質改善を継続して実施する計画です。

3.初期校正検証の概要

衛星の観測データを活用していく上では画質をはじめとしたデータの品質が重要となります。「だいち4号」では2024年10月18日の定常運用開始以降、PALSAR-3の観測データ公開に向けて約6か月間の初期校正検証運用を実施し、要求仕様を満足する画像に仕上げるために、観測データの評価や、搭載機器のパラメータ及び画質の調整を実施いたしました。結果の詳細については下記URLに順次掲載予定です。
<https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/alos-4/a4_calval_j.htm>
今後の定常観測運用の中においても校正検証による観測データの改善を継続して実施していきます。

4.「だいち4号」の観測例

<観測幅の拡大>
図1は初期校正期間中に「だいち4号」が観測した九州地方の画像です。「だいち4号」では、「だいち2号」と同じ3mの分解能を維持しながら、観測幅を約50kmから約200kmと大幅に拡大し、広域の観測と高い観測頻度を実現します。

図1 「だいち4号」PALSAR-3の高分解能3m/観測幅200kmモードによる九州地方の観測画像
(R:HH偏波、G:HV偏波、B:HH偏波)、観測日2025/2/18

<地殻変動・災害における利用(干渉SAR)>
図2は2025年1月7日に発生したチベット南部地震による地殻変動の様子を干渉SAR(※4)と呼ばれる解析手法によって捉えた画像です。「だいち4号」は「だいち2号」(2014年から観測データを蓄積)のデータと組み合わせた解析も可能であり、長期的な地殻変動の把握や、火山活動、地盤沈下、地滑り等の異変の早期発見への活用が期待されます。
「だいち2号」のデータと組み合わせた解析事例については、ミッションパートナーである国土地理院からも公表しています。詳細は下記URLをご覧ください。
「だいち4号」で初めて地殻変動を検出(2024年10月16日発表)
https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/uchusokuchi20241015.html

図2 「だいち4号」による2025年1月7日チベット南部地震の地殻変動の観測結果(2024年10月19日~2025年1月15日)

※4:干渉SARの詳細については下記URLをご参照ください。
国土地理院による干渉SARページ
https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/gsi_sar.html

<その他高次利用(森林・非森林)>
図3は2025年2月20日~3月2日の間に「だいち4号」によって観測された画像を用いて作成されたニュージーランド北部の森林分布図です。LバンドSARは森林の有無を判別することに適しており、「だいち」初号機からの継続的な森林観測データとともに、長期的かつ高頻度な森林状況把握への活用が期待されます。

図3「だいち4号」によるニュージーランド北部の森林・非森林図

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