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2024.02.22(木)

国内・国外の自然災害における「だいち2号」(ALOS-2)による緊急観測対応について(2023年4月~12月)

JAXAでは、自然災害が発生した際、連携している防災関係機関からの要請を受け、「だいち2号」(ALOS-2)による緊急観測を行っています。観測したデータおよびデータより得られた被災情報は防災関係機関に提供され、被害状況の把握などの防災・減災活動に役立てられています。
さらに、国内の自然災害にとどまらず、海外での自然災害時にも、被災国の防災機関等の要請に基づき緊急観測を実施し、衛星データや被災状況などの解析結果を提供しています。具体的には、国際的な防災枠組みであるセンチネルアジア国際災害チャータに加盟し、JAX Aの衛星が国外でも防災・減災に活用されるための活動をしています。

2023年4月から12月末までの緊急観測対応は下記の通りです。
(太字の事例は、詳細を後述しています。)

ALOS-2による観測日
(日本時間)
対象 区分
5月5日、7日 石川県能登地方 地震
5月11日 関東地方(房総半島) 地震
6月2日 愛知県・岐阜県 洪水(台風2号)
6月4日 和歌山県・奈良県 土砂(台風2号)
6月4日 高知県 土砂(台風2号)
6月4日 長野県 土砂(台風2号)
6月6日 奈良県 土砂(台風2号)
6月28日、30日、
7月12日、14日、22日
口永良部島 火山
7月1日 九州地方・山口県 洪水
7月3日 九州地方 洪水
7月9日 島根県 洪水
7月10日 山口県・福岡県 洪水
7月12日 霧島山 火山
7月12日 大分県 土砂
7月13日 富山県 洪水
7月18日 秋田県・青森県 土砂
8月10日 四国地方 土砂(台風6号)
8月11日 九州地方 洪水(台風6号)
8月14日、15日 三重県 洪水(台風7号)
8月16日 鳥取県・岡山県 土砂(台風7号)
8月16日 奈良県、和歌山県、京都府 土砂(台風7号)
8月19日 静岡県 土砂
8月27日 近畿地方 土砂
9月8日、18日 千葉県・茨城県 洪水(台風13号)
11月12日、13日 硫黄島 火山
国内災害における緊急観測対応(2023年4月~12月)
ALOS-2による観測日
(日本時間)
対象 区分
5月3日、7日、12日 ルワンダ 洪水
5月15日 ミャンマー サイクロン
5月15日 バングラデシュ サイクロン
6月2日 フィリピン 台風
6月16日 インド サイクロン
6月18日 カザフスタン 森林火災
7月18日 インド 洪水
7月22日 ベトナム 台風
7月29日 ブータン 洪水
7月30日 フィリピン 台風
8月9日、10日 ベトナム 水害
8月19日 ベトナム 地滑り
9月8日 タジキスタン 地滑り
9月14日 モロッコ 地震
9月16日 ベトナム 洪水・地滑り
9月17日、22日、27日 リビア 洪水
9月29日 ベトナム 洪水
10月13日 アフガニスタン 地震
10月18日 ベトナム 洪水
11月10日 ネパール 地震
11月10日、11日 ベトナム 洪水・地滑り
11月18日 バングラデシュ 洪水
11月20日 ベトナム 洪水・地滑り
11月20日 フィリピン 地震
12月6日 インドネシア 火山噴火
12月22日 中国甘粛省 地震
国外災害における緊急観測対応(2023年4月~12月)

愛知県・岐阜県での洪水(令和5年台風2号)

「令和5年台風2号豪雨」において、JAXAでは6月2日に観測したALOS-2データを基に、被害域自動抽出ツールによる浸水域の自動推定情報を提供しました。
図1において、四角形で囲まれた箇所が、今回のALOS-2による観測範囲です。青色で囲まれた箇所は、自動抽出された推定浸水域を示しています。

図1:JAXA ALOS-2による浸水域の自動推定情報

JAXAから提供した情報は、国土交通省中部地方整備局にて下記のとおり活用されました。

  • 整備局内の災害対応関係課への共有
  • 翌朝からのヘリ調査、地上調査での調査範囲の絞り込み検討の参考資料に活用
  • 判読結果と合わせて提供された「統計情報」の推定浸水面積を内部での被害状況とりまとめ速報資料で活用
  • 判読結果と合わせて提供頂いた「統計情報」の推定浸水面積を基に概略の排水量を算定し、翌朝からの排水ポンプ車の配置検討に活用

ミャンマー サイクロン「MOCHA」

5月に東南アジアを襲ったサイクロン「MOCHA」について、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)からの要請により、5月11日にセンチネルアジアが発動されました。JAXAでは、ALOS-2による緊急観測を5月14日に実施し、その観測データを基に、シンガポールの南洋理工大学やアジア工科大学院が解析した結果が図2、図3になります。図2、図3ともに、浸水が推定されるエリアが水色で示されています。これらの解析結果は、AHAセンターのレポート(Situation Update)にまとめられたほか、日本国内の報道番組でも引用されました。

図2:シンガポール 南洋理工大学による解析結果
図3:アジア工科大学院による解析結果

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