お知らせ
2024.08.30(金)
グリーン及びスマートシティに係るカンボジア政府要人との会談及びイベントの実施について
2024年8月、カンボジア・プノンペンにおいて、ジェトロやカンボジア国土整備・都市計画・建設省(カンボジア国土省)等とJAXAが、グリーン及びスマートシティに係る国際協力・経済共創イベントを共催しました。
「日カンボジア経済共創交流シンポジウム(第2回)~衛星技術、脱炭素技術を利用したカーボンクレジットビジネスの創出に向けて~」(2024年8月7日)及び「日カンボジアスマートシティ交流シンポジウム」(2024年8月9日)の模様については、こちらの報告記事をご覧ください。
本イベントに合わせて、JAXAの代表が、フン・マネット首相をはじめとする政府要人との間で、宇宙技術を用いたグリーン市場の創出や、スマートシティ化のための衛星データの活用について、意見交換を行うとともに、第一宇宙技術部門の推進するバイオマスマップ作成にかかる取決めの締結や、カンボジア国土省へのだいちデータの提供にかかるセレモニーを行いました。
■フン・マネット首相との会談 (8月6日)
8月6日、植野篤志駐カンボジア日本大使を代表とする日本代表団(在カンボジア大使館、ジェトロ、JAXA及び日本企業)が、首相府を訪れ、フン・マネット首相と会談を行いました。冒頭、ジェトロの河田理事より、首相ほかカンボジア側にして、同国政府が海外直接投資環境の改善を推進していることに対して謝意が述べられました、そのようなビジネス環境の中、今回ジェトロとJAXAがビジネスミッションを企画し、カンボジアへの進出と共創に関心の高い多くのグリーン/テック系の日系企業が来訪していることを報告しました。
提供:カンボジア首相府
首相府でのフン・マネット首相と日本代表団の会談
JAXAからは石井副理事長が、①JAXAの新たな使命(官民パートナーシップの中心/ハブとなり、宇宙技術を用いて社会課題を解決しながら宇宙経済の成長に貢献)、②アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)によるパートナーシップ推進と地球観測分野の産学官連携を推進する衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)の設立、③日本政府による宇宙戦略基金の設立/JAXAによる運用開始と日系企業からの積極的な提案への期待、④ジェトロとの戦略的な連携による日カンボジア経済共創の推進について説明しました。
提供:カンボジア首相府
フン・マネット首相
提供:カンボジア首相府
(左)JAXA石井副理事長、
(右)春田ジェトロプノンペン事務所長
石井副理事長の説明に続き、第一宇宙技術部門・祖父江マネージャより①農林水産省と連携した稲の作況モニタリングプロジェクト、②王立農業大学と連携してカーボンクレジット経済への貢献を目指す稲作地からのメタンガス排出推定/削減プロジェクト、③環境省と連携したカンボジア全土の森林バイオマスマッピングプロジェクト、そして④国土行政における課題解決及びスマートシティ化への活用のためのJAXAの衛星データの国土省への提供といった日本の宇宙技術のカンボジアでの貢献と協力概要について説明しました。
フン・マネット首相からは、まずカンボジアの投資環境に日系企業が継続的に関心を示していることに謝意が表されました。また首相からは、2030年までにクリーンエネルギーの導入率70%の達成をはじめ、2050年に同国のカーボン・ニュートラルの達成を目指しており、政権の柱としている持続可能な開発を確保するというカンボジア政府のグリーン経済政策に沿う形で日本企業がクリーンエネルギーとカーボンクレジットに注力していることへ全面的な支持と期待を表明されました。
会談は、両国が強固なパートナーシップを育み、持続可能な社会経済へ向けて投資とイノベーションを模索・推進していくことを確認し終了しました。
■イエン・ソポルレット環境大臣との会談とカンボジア環境省との森林バイオマスマップ作成と利用に係る書簡取決めの締結について(8/9)
8月9日、JAXAは、イエン・ソポルレット環境大臣を訪問し、JAXAとカンボジア環境省との間で取り組む「森林バイオマスマップ作成と利用に係る書簡取決め」の返書が、環境大臣から手交されました。これにより、正式にカンボジア環境省とJAXAの間の協定が発効しました。今後、カンボジア環境省の環境知識情報局(GDEKI)との間で、現地地上データの提供や森林地帯での実測等の情報と、衛星データから処理されたバイオマスプロダクトとの比較検証や統合作業を進め、カンボジアにおける精度の高い衛星バイオマスマップを作成すると共に、カンボジアの気候変動政策に必要な情報として、JAXAの衛星データプロダクトを活用していくためのキャパシティビルディングを進める予定です。
森林バイオマスマップ作成にかかるカンボジア環境省との書簡取決めの締結
■衛星データ引渡し式典の開催 (8/9)
今年2月のサイ・サムオル国土大臣一行が、筑波宇宙センター視察した際、カンボジアの国土行政に利用するため、JAXAに対して、「だいち」(ALOS)のカンボジア全域の衛星データの提供が要請されました。8月9日、カンボジア国土省において、カンボジア全域の「だいち」データに係る引渡し式典が執り行われました。
カンボジア国土省筆頭長官のテックレ・サマラッチ筆頭長官に対し、植野大使や国土省幹部が臨席する中、JAXAを代表して、第一宇宙技術部門・祖父江マネージャが、「だいち」データを手交しました。
なお、サムオル国土大臣は、公務にて急遽引き渡し式典への出席がキャンセルとなってしまいましたが、過日の個別に会談の際(8/6)、①土地登記や地形図作成をはじめとする国土管理は最重要課題のひとつ。また、都市開発/スマートシティ化、また農業等における課題解決を含めて衛星データは不可欠、②カンボジアの成長のために日本を良きモデルとしてJICAなど関係機関も含めて連携していきたい、③最近では洪水被害が問題となっており対策が求められている。この課題にも衛星データは有効と期待している。など、国土行政に対する衛星観測技術の活用に向けて、期待が述べられました。
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