お知らせ

2024.10.03(木)

IPCC第7次評価報告書議長団メンバー による
「GOBLEUプロジェクト」の視察

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)※1第7次評価報告書議長団のメンバー※2が、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とANAホールディングス株式会社(ANAHD)が行う、「GOBLEUプロジェクト」※3をANAの羽田空港格納庫内にて視察しました。

「GOBLEUプロジェクト」では、都市域における温室効果ガスの排出量を、交通・産業などの発生源別に評価することを目指し、JAXAの温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)※4の観測技術を応用した観測機器をANAの福岡・羽田便の旅客機へと搭載し、温室効果ガスの観測・解析を行っています※5

今回、IPCCにおいて気候変動に関する総合的な科学的・技術的評価を行う第7次評価報告書議長団のうち、レディスラウス・チャンガ副議長をはじめ、各作業部会等の共同議長計3名が、羽田空港に隣接するANAの羽田空港格納庫に於いて観測機器を搭載した実際の旅客機を視察しました。

議長団のメンバーからは、旅客機から観測を行うことで得られる観測データが、都市部における温室効果ガス排出量を発生源別に評価・可視化する情報を提供するとともに、都市における温室効果ガス排出削減努力の評価に活用されることへの期待が寄せられました。 また、将来的に途上国等における能力構築支援の取組みへと拡大することへの期待も寄せられました。

JJAXAとANAHDは本研究を通じ、宇宙と空から温室効果ガスの排出量削減に向けた国際的な取組みに貢献し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。

※1
世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織であり、195の国・地域が参加しています。気候変動に関する最新の科学的知見を評価し、IPCCが作成する評価報告書が国連気候変動枠組条約(UNFCCC)や各国政府の気候変動に関する政策等の重要な決定への科学的根拠を与えています。
※2
IPCCでは、1990年に発表した第1次評価報告書以降、5~7年ごとに報告書を作成しており、2023年7月より、第7次評価報告書のサイクルが開始されています。IPCCでは、評価報告書ごとに議長団が選出され、第7次評価報告書の議長団は、IPCC議長(1名)及び副議長(3名)、各WG共同議長(各2名、計6名)及び副議長(計22名)並びにTFI共同議長(2名)の計34名で構成されています。
※3
Greenhouse gas Observations of Biospheric and Local Emissions from the Upper skyプロジェクト 「GOBLEU」は「ゴーブルー」と読む。本取り組みは2020年(令和2年)9月28日にプレスリリース済み。
https://www.jaxa.jp/press/2020/09/20200928-1_j.html
https://www.anahd.co.jp/group/pr/202009/20200928.html
※4
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)
※5
本取組みの技術的な概要および観測結果について、”The Greenhouse gas Observations of Biospheric and Local Emissions from the Upper sky (GOBLEU): a mission overview, instrument description, and results from the first flight” がCarbon Balance and Management 19号 2024(https://doi.org/10.1186/s13021-024-00273-1)に掲載されました。

■航空機で測定する目的・効果
2009年に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は高度666kmから正確にCO2濃度を測定することができます。しかし、観測点1点が直径10km程度と空間分解能が十分でないため、広域の排出量は推定できても、発生源別の評価は難しいという課題があります。
一方、旅客機は、人工衛星よりはるかに地表に近い高度10km以下を飛行するため、より細かなデータが得られるものと期待できます。
このように人工衛星と旅客機の特徴を組み合わせることで、新たな価値を創出できると期待しています。

■ 各社の主な役割
JAXA: 旅客運航便による分光観測手法の検討、航空機観測によるデータ取得、観測データの解析・評価、定常運用の実現性及び可能性の検討
ANAHD: 旅客運航便による分光観測手法の検討、航空機観測によるデータ取得、定常運用の実現性及び可能性の検討

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