お知らせ
2024.10.16(水)
先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)による初の地殻・地盤変動の観測に成功しました!
2024年7月1日に打ち上げた先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)は現在、初期機能確認運用を実施しています。その初期機能確認において、初の地殻・地盤変動の観測に成功しました。今回の成功は「だいち4号」のミッション目的である、火山活動、地盤沈下、地滑り等の異変の早期発見に向けて大きな前進です。
「だいち4号」では、干渉SARという技術により、地表面の変化を数センチメートルの精度で計測可能です。
火山活動が活発になっている岩手山の地殻変動を検出
「だいち4号」のミッションパートナーとして画像解析を担当する国土地理院では、2024年9月26日に「だいち2号」の観測を基にした干渉SARにより岩手山の地殻変動を検出し、2024年10月2日に仙台管区気象台は岩手山の噴火警戒レベルを「活火山であることに留意」の1から「火口周辺規制」の2に引き上げました(※1)。これは「だいち2号」による観測で地殻変動が認められたことによるものですが、今回、「だいち4号」の観測においても、同様の地殻変動が捉えられました。
この結果の詳細は、国土地理院のウェブサイトをご覧ください。
「「だいち4号」で初めて地殻変動を検出」
https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/uchusokuchi20241015.html
シベリアの永久凍土融解による地盤の沈降を検出
JAXAの地球観測研究センターでは、「だいち2号」による6月の観測と「だいち4号」の9月の観測を組み合わせた干渉SARにより、シベリアの永久凍土融解による地盤の沈降を検出し、凍土融解が発生する夏に地盤が沈降している様子を捉えました。この地域では、昨今の気候変動の影響を受けて、永久凍土の融解が進行し、温室効果ガス(二酸化炭素やメタン)の排出が懸念されています。
「だいち4号」と「だいち2号」の観測データを組み合わせた
継続的な地殻・地盤変動の把握を実現
今回の結果から、「だいち4号」の観測は、2014年から観測を開始した「だいち2号」の観測データと組み合わせることが可能であることを確認できました。これによって、10年以上蓄積している「だいち2号」の観測データを生かして、今後さらに長期間の継続的な地殻・地盤変動の把握ができるようになります。
これらの結果は、「だいち4号」のミッションパートナーである国土地理院と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施しているシステム機能確認の一環として得られたものです。両者の連携と、「だいち4号」および「だいち2号」の高精度な観測や衛星軌道制御の実現、2006年からの「だいち」シリーズ衛星の長年の運用で培った高度な解析技術が揃い、打上げ後の早期実現につながりました。
「だいち4号」は初期機能確認運用完了後、3か月間の初期校正検証運用を経たのちに、2025年1月頃から全国の定期的な観測とその観測データの提供を開始する予定です。
※1:岩手山の噴火警戒レベルを2へ引上げ(令和6年10月2日)
噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引上げ
火山活動の状況:国土地理院によると、9月26日に観測された「だいち2号」のSAR干渉解析結果では、大地獄谷周辺に、衛星に近づく変動が見られます。この変動は、大地獄谷付近のごく浅いところの膨張を示していると考えられます。
出典:気象庁ホームページ
https://www.jma.go.jp/jma/press/2410/02a/20241002_iwatesan.html
参考
・JAXAのだいち4号(ALOS-4)ページ
ミッションの概要:https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-4/
データ利用、研究者の方向け:https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/alos-4/a4_about_j.htm
・国土地理院による干渉SARページ
https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/gsi_sar.html
・干渉SAR画像の見かた
https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS-2/img_up/jpal2_howto_insar.htm
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