お知らせ

2022.05.31(火)

線状降水帯の機構解明に関する気象庁気象研究所との共同研究に基づく集中観測や衛星データ提供の開始について

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、2022年5月に気象庁気象研究所(以下、気象研)と協定「線状降水帯の機構解明及び予測技術向上に資する研究の推進に関する協定書」および共同研究「全球降水観測計画(GPM)等の衛星データと地上観測測器による線状降水帯の機構解明に関する研究」を締結しました。

2022年5月31日 の気象庁報道発表「線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究をオールジャパンで実施します」のとおり、共同研究に基づき、6月から熊本地方気象台において、GPM 地上観測測器による線状降水帯(※1)のメカニズム解明のための集中観測を開始するとともに、地球観測衛星プロダクト(GPM、しずく、しきさい等)を気象研が運用する線状降水帯データベースに提供することを開始いたします。
線状降水帯では積乱雲が次々と発生し、顕著な大雨となって、近年、建物や人への甚大な災害が頻発しています。JAXAは、線状降水帯を地上と宇宙の双方から観測する(※2別添参照)ことで、線状降水帯のメカニズム解明と予測精度の向上に貢献することを目指します。

(※1)線状降水帯:次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域

(※2別添)
本共同研究では、2022 年梅雨期の熊本地方気象台において、GPM 地上観測測器(マイクロレインレーダとディスドロメータ)を用いて、線状降水帯を構成する降水系内部の降水粒子の粒径分布を観測し、それらの観測データを用いてGPM 降水プロダクトの検証を行います。図1に、熊本地方気象台に設置したマイクロレインレーダとディスドロメータの写真や観測例を示します。

図1:熊本地方気象台に設置したマイクロレインレーダとディスドロメータ

さらに、地球観測衛星プロダクト(GPM、しずく、しきさい等)と上記のGPM 地上観測測器の観測データを、気象研が運用する線状降水帯データベースに提供するとともに、「JAXA線状降水帯特別観測実験モニタ」を設置し、観測画像を公開します(図2)。本ホームページでは、長崎大学とJAXAが協力して長崎大学で設置している、マイクロレインレーダとディスドロメータによる観測データの観測画像も公開します。
サイトURL:https://www.eorc.jaxa.jp/GPM/SENJO/

図2:JAXA線状降水帯集中観測モニタ(https://www.eorc.jaxa.jp/GPM/SENJO/)の概要

これらの、集中観測データや地球観測衛星プロダクトを、気象研や協定に参加する大学・研究機関と共有し、線状降水帯の内部構造や環境場に関する解析を行い、連携の下、線状降水帯のメカニズム解明研究の推進を通じて、予測精度の向上に貢献します。

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